文法の違いや発音の難しさから日本人が苦手とする英語。中学・高校・大学と10年間も英語を学んでも、話せる人はどれだけいるでしょうか。

調査会社のGMOインターネットグループは9月、「英語に関する意識調査」を発表しました。これによると「英語が得意」と回答する割合は成人よりも未成年のほうが多く、大人になるにつれて、苦手と感じることが多くなることが分かりました。

理由としては、「英語を使う機会がない」が成人では9割を占め、未成年でも7割となります。そのため、英語を使う意欲も成人になるにつれて低下し、「英語を習得することが重要だと思うか」の質問に対して「とてもそう思う」とする未成年は約5割となったものの、成人では2割以下まで落ち込みます。

浮き彫りとなった成人と未成年の英語に関する意識の違い。本記事では、調査結果をもとに詳細に見ていきます。

1 日本人の6割超「英語は苦手」

GMOによる調査は、15歳~19歳の未成年の男女5000名と20歳~59歳の成人男女5000名を合わせた計10000名を対象に行われました。

 

1-1 成人では7割が「まったく得意ではない」

「英語に対する意識」では、「得意」と回答した未成年は30.8%(「とても得意」6.4%、「やや得意」24.4%)となり、成人では13.2%(「とても得意」3.2%、「やや得意」10.0%)にとどまりました。

一方、「得意ではない」としたのは、未成年で50.3%(「あまり得意ではない」29.0%、「まったく得意ではない」21.3%)となり、成人では69.7%となるなど、成人は「まったく得意ではない」とする割合が、未成年よりも倍以上増えるのが特徴的です。

・未成年と成人の英語に対する意識

  未成年 成人
とても得意 6.4% 3.2%
やや得意 24.4% 10.0%
どちらでもない 18.9% 17.1%
あまり得意ではない 29.0% 22.6%
まったく得意ではない 21.3% 47.1%

(GMO調査結果より作成)

1-2 英語を使う機会がないから苦手になる?

また、「英語に対する苦手意識があるか」の調査では、未成年の62.4%がある(「とてもある」31.9%、「ややある」30.5%)と回答し、成人では67.0%(「とてもある」41.7%、「ややある」25.3%)となります。

一方、「苦手意識はない」と回答したのは、未成年で21.8%(「あまりない」16.0%、「まったくない」5.8%)、成人では15.1%(「あまりない」9.2%、「まったくない」5.9%)となりました。

・英語に対する苦手意識

  未成年 成人
とてもある 31.9% 41.7%
ややある 30.5% 25.3%
どちらでもない 15.8% 18.0%
あまりない 16.0% 9.2%
まったく得意まったくない 5.8% 5.9%

(GMO調査結果より作成)

また、なぜ英語に苦手意識を持つようになったのかの理由を問うと、「英語を使う機会がない」との回答が最も多く、未成年で69.6%、成人で89.5%となりました。

このほか、「文法がわからない」(未成年66.1%、成人52.8%)、「単語が覚えられない」(未成年54.2%、成人39.4%)、「英文を読み解くことが難しい」(未成年50.4%、成人40.3%)、「聞き取りができない」(未成年49.2%、成人62.6%)、「発音が難しい」(未成年36.7%、成人48.7%)、「英語に興味がない」(未成年20.8%、成人20.0%)などの回答がありました。

・英語に対する苦手意識

  未成年 成人
英語を使う機会がない 69.6% 89.5%
文法がわからない 66.1% 52.8%
単語が覚えられない 54.2% 39.4%
英文を読み解くことが難しい 50.4% 40.3%
聞き取りができない 49.2% 62.6%
発音が難しい 36.7% 48.7%
英語に興味がない 20.8% 20.0%

(GMO調査結果より作成)

2 成人「英語の習得は重要ではない」

大人になればなるほど減っていく勉強時間。1週間のうち英語に触れている時間の調査結果では、「1時間以下」と回答する未成年は43.7%でしたが、成人では84.2%まで上昇します。

・週に何時間英語を勉強しているか

  未成年 成人
1時間以下 43.7% 84.2%
2~3時間 20.3% 7.1%
4~5時間 14.7% 3.2%
6~10時間 12.2% 2.2%
11~15時間 4.0% 1.3%
16~20時間 1.9% 0.5%
21~30時間 0.9% 0.5%
31~40時間 0.5% 0.2%
41~50時間 0.4% 0.3%
51~60時間 0.1% 0.0%
61時間以上 1.2% 0.4%

(GMO調査結果より作成)

2-1 「英語を活かしている場面」特になしが67.3%

現在英語を活かしている場面を調査した結果によると、未成年では「学校やスクールで学ぶ」が42.0%で最も多くなりましたが、成人では「特になし」が67.3%で最も多くなりました。

このほか、「英語の曲を聴く」(未成年34.7%、成人%15.8)、「英語の教材を使い独学で学んでいる」(未成年11.2%、成人5.1%)、「英語の映画やドラマを字幕なしで見る」(未成年8.7%、成人6.8%)、「海外旅行に行く」(未成年6.2%、成人11.2%)、「外国人の友人との交流」(未成年5.6%、成人3.8%)、「仕事で使っている」(未成年1.6%、成人4.8%)などの回答がありました。

・ 現在英語を活かしている場面

  未成年 成人
学校やスクールで学ぶ 42.0% 2.3%
英語の曲を聴く 34.7% 15.8%
英語の教材を使い独学で学んでいる 11.2% 5.1%
英語の映画やドラマを字幕なしで見る 8.7% 6.8%
海外旅行に行く 6.2% 11.0%
外国人の友人との交流 5.6% 3.8%
仕事で使っている 1.6% 4.8%
特になし 32.0% 67.3%

(GMO調査結果より作成)

また、今後英語を活かしたい場面の調査結果では、未成年では「海外旅行に行く」が最多の42.9%でしたが、成人では「特になし」が55.5%で最も多くなりました。

このほか、「英語の曲を聴く」(未成年27.5%、成人14.4%)、「外国人の友人との交流」(未成年26.5%、成人11.1%)、「英語の映画やドラマを字幕なしで見る」(未成年24.7%、成人15.6%)、「英語を使う仕事に就きたい」(未成年17.0%、成人7.4%)、「海外で生活したい」(未成年14.6%、成人6.7%)などがありました。

・ 現在英語を活かしている場面

  未成年 成人
海外旅行に行く 42.9% 24.9%
英語の曲を聴く 27.5% 14.4%
外国人の友人との交流 26.5% 11.1%
英語の映画やドラマを字幕なしで見る 24.7% 15.6%
英語を使う仕事に就きたい 17.0% 7.4%
海外で生活したい 14.6% 6.7%
特になし 29.5% 55.5%

(GMO調査結果より作成)

 

2-2 低下する英語の重要性

大人になるにつれて英語に触れる機会が減少するため、学生の頃よりも「英語の習得」が重要ではないと考える人が多くなるようです。

「英語を習得することが重要だと思うか」との調査は、未成年の49.6%が「とてもそう思う」と回答したのに対し、成人は17.7%に止まりした。一方、「まったくそう思わない」と回答したのが未成年では8.2%だったのに対し、成人では24.2%と3倍近くになりました。

・ 英語の習得は重要だと思うか

  未成年 成人
とてもそう思う 49.6 17.7
ややそう思う 33.3 32.5
あまりそう思わない 8.9 25.6
まったくそう思わない 8.2 24.2

(GMO調査結果より作成)

今回調査を受けて、GMOは、

「未成年は英語を「得意」だと感じている人が成人よりも多いことがわかりました。また、全体的に未成年は成人に比べて英語に触れる時間や活用する場面が多く、英語の活用意欲も高いようです。さらに、未成年では「英語学習アプリ」を利用して勉強をしている人も一定数いることから、今後はより一層スマートフォンやタブレット端末を利用した英語学習ニーズが拡大していくと考えられます」

と述べました。

Multiethnic Group of Friends at Park