会社を大きくする手段はいくつかありますが、成功した場合の効率よく会社を成長させることができるのが合併です。合併によって2つの会社が1つになることによって、業界におけるシェアを高めたり、より先進的な技術を発展させたりすることが可能になります。本記事では会社の合併の種類を中心に合併と買収、提携の違いや、メリット・デメリットを解説します。また近年問題になっている少子高齢化に派生する中小企業の事業継承問題も併せて見ていきますので、経営者の方はぜひご参考ください。

目次

1 合併とは?

合併とは複数の会社が統合して1つの会社になる手法のことを指します。合併と言って思いつきやすいのが銀行です。銀行にはいわゆる3メガバンクという大きな銀行がありますが、どれも近年合併によって誕生した銀行です。例えば、三菱UFJ銀行は1996年に三菱銀行と東京銀行が合併、2002年に三和銀行と東海銀行が合併して誕生したUFJ銀行が加わって2006年に今の名前になりました。銀行だけに限らず、さまざまな業界で合併は行われています。

 

1-1 合併する意義

合併することによって、業界内のシェアを高めたり、共通の管理費を削減して効率の良い運営体制を構築したり、技術的なシナジーを高めて競争力のある製品を開発したりする効果が期待できます。ただしその反面、合併で各会社の出身者による派閥争いが行われて社内が混乱したり、想定したよりもシナジー効果がなく会社の業績か下降したりしてしまうというリスクもあります。

会社を大きくするためには色々な手法がありますが、合併は成功すれば最もてっとり早い会社の成長方法です。合併することによって、ヒト・モノ・カネは2つの企業を合わせた分だけ大きくなりますし、業界内でのシェアも単純に考えれば合計値になります。

 

1-2 新設合併と吸収合併

ちなみに、合併と一口に言っても新設合併と吸収合併という手法があります。

新設合併とは合併する両方の法人とは別の法人を新設して、元の会社に2つの会社を吸収させる手法です。吸収合併とは合併する複数の会社の中から、残る会社と吸収される会社を選択して、残るか会社に、吸収される会社を吸収させて1社にする方法です。

どちらも最終的には2つの会社が合併した状態になりますが、手続き的には両者は大きく異なります。吸収合併の場合は、残る会社が存続し続けるので、その会社が保有している許認可はそのまま引き継がれます。一方で新設合併の場合は、新設された会社が残り、元の会社は無くなってしまうので、元の会社が保有していた許認可は引き継ぐことができません。もとの会社の名義で、許認可を取得しなおす必要があります。

このようなことを含めて、引継ぎを考えると吸収合併の方が新設合併よりデメリットが少ないです。ただし、どちらの会社が残って、どちらの会社が吸収されるのかということは、当事者の経営者や従業員にとってはセンシティブなことも多いので、心情的な問題に配慮して新設合併によって、合併を行うケースもあります。

ちなみに、吸収合併と新設合併では消滅会社の株主が受け取れる対価は異なります。吸収合併の場合は、合併の対価として金銭を受け取っても良いですし、株式や社債でも受け取ることができます。これに対して、新設合併の場合は、合併の対価として受け取れるのは株式や社債等に限られて、現金では受け取ることができません。よって、合併の対価として金銭を受け取りたい取締役としては新設合併の方が不便です。

また、吸収合併でも三角合併という手法があります。三角合併では消滅する会社の株主と存続する会社の株式を交付するのではなく、親会社や関係会社の株式を交付する合併のしかたです。吸収合併の変則パターンですが2005年の新会社法から可能となりました。

よって、新設合併よりも吸収合併の方が活用されるケースが多いです。過去に新設合併が行われた有名なケースとしては、2003年に三越が名古屋三越、千葉三越、鹿児島三越、福岡三越と新設合併をして株式会社三越(現在の三越伊勢丹ホールディングス)になった事例があります。

以上のように、新設合併と吸収合併の違いについて説明していますが、基本的には発生するメリット・デメリットはどちらの手続きを行ってもほとんど違いはありません。会社の業績が飛躍するか、それとも衰退するのかは合併先の選び方、合併後の運営などにかかっています。

 

1-3 合併と買収の違い

合併と類似する概念として「買収」があります。どちらも同じような意味で捉えている方も多いかもしれませんが、両者の意味が大きく異なります。合併とは先ほども説明した通り、2つの会社が1つの会社に統合されることですが、買収の場合は買収された会社が無くなってしまうとは限りません。

買収とは買収する側の企業が買収される側の株式を買い取ることを指します。会社を合併しなくても、その会社の議決権さえ保有していれば、その会社の経営に影響を与えることができます。

会社への影響度は、その会社、企業が保有している議決権の割合に大きく影響を受けます。どの位の議決権の割合を保有すれば、どのような権利が行使できるのかは会社法によって定められています。例えば、議決権の1%を保有すれば株主提案権が行使できますし、3%を保有すれば取締役の解任請求ができます。さらに、50%より多い議決権を保有すれば合併などの例外を除く普通決議を単独で通すことができますし、66.7%以上の議決権を持てば特別決議を単独で通すことができます。また、50%以上の株式を保有している会社を子会社と呼び、会計上は連結決算の対象となります。

よって、合併して1つの会社にならなくても、買収するだけで企業同士の連携を強めることができます。事業同士のシナジーを高めるという点だけで考えれば、合併より買収の方が、メリットが多いケースもたくさんあります。

合併すると2つの会社が1つの会社になるので、両社の組織が統合されてうまく業務を執行できるように調整が大変です。その企業がこれまで培ってきた企業風土もそうですし、賃金体系や就業規則などの具体的なルールをすり合わせるのも意外と大変です。そして、このような調整が上手くいかなければ、業務が滞るかもしれませんし、離職する人員が発生する可能性もあります。

買収して、関係会社、子会社として共同的に事業を進めて行くのならば、このような企業風土や各種規則のすり合わせも必要ありませんし、業務に与えるリスクも最小限に減らすことができます。また、合併の場合もう1つの会社になってしまっているので、後で合併を失敗だと考えて解消したいと思っても、分離することは困難です。一方で買収の場合なら、保有している株式を買収した企業や第三者に買い取ってもらうことによって、その会社との関係を清算することができます。

このように説明すると買収の方がメリットは大きいように思えるかもしれませんが、事業としてのシナジー効果を追求するのならば、買収よりも合併の方が優れています。買収して別々の会社が協力しているよりも、合併により1つの会社になっている方が、コスト削減も組織としての連携も行いやすいです。

 

1-4 合併と提携の違い

合併と類似の概念として、「提携」というパターンもあります。提携とは、合併や買収よりも更にライトな関係性でお互いに協力して事業を行うということを指します。法令によって定められている用語ではないので、提携に当たって定められてルースは存在しません。

提携には業務提携と資本提携という2つのレベルがあります。業務提携とはすなわち、何らかの業務を共同して行うということです。共同して行う業務は何でも構いません。例えば、共同仕入れによって取引量を増やして、仕入れ先に価格交渉を行うための業務提携やお互いが持っている技術を持ち寄って新しい技術を作るための業務提携などさまざまな目的での提携が考えられます。

資本提携とは当事者のどちらかの企業が相手の株式を取得したり、互いの会社の株式を取得したりすることを指します。株式を取得するということは買収と同じようなものだと考えられるかもしれませんが、資本提携の場合は、相手の会社の支配権の獲得を意図して行われないことが通常です。業務提携も資本提携も両方行うことを資本業務提携と呼びます。

買収は一方の支配権の獲得を意図して行われることが多いですが、必ずしも買収は成功するわけではありません。いわゆる敵対的な買収をすると、相手が買収に対する防衛策を講じるかも知れませんし、意に沿わない買収への抵抗として買収したあとに欲しかった技術や人材が社外に流出する可能性もあります。企業同士が協力するために、一方が一方を支配する関係を構築する必要はありません。とくに技術的な協力だけなら、買収せずとも業務資本提携だけでも十分なことが多いです。

このように、提携は企業同士のライトな連携手段ですが、いくつかの注意点があります。まず、お互いが対等な関係で契約を結ぶので、解消が容易です。また、技術や情報の流出の危険もあります。企業同士でお互いの技術や情報を持ち寄るので、自社がきちんと管理していても、相手側の不備やトラブルなどによって自社の秘匿していた技術や情報が流出する可能性があります。

合併することだけが企業の成長方法ではありません。合併はメリットも大きい分、デメリットも大きい手法です。他者の強みを自社に還元したいという場合は、買収や提携でも目的が充分に果たせる場合も多いです。

2 合併のメリット・デメリット

企業同士が合併することによって、どのようなメリットやデメリットが発生するのかについて説明します。

 

2-1 合併のメリット・デメリット

まずは、吸収合併・新設合併に関わらず、合併に関するメリット・デメリットについて説明します。

  

2-1-1 メリット①:業界内でのシェアを高められる

まず、メリットの1つ目として挙げられるのが、同じ業界で合併をすると業界内でのシェアを高められるということです。特に、銀行や保険業界ではシェアを高めるための合併や買収が頻繁に行われています。

企業間のシェア獲得競争においてはシェアの低い企業から脱落していきます。事業規模が大きくなればなるほど、販管費が効率化できますし、プライスリーダーになって価格のコントロールもしやすいです。

よって、各社は業界内でのシェアを高めるために日々努力をしていますが、他者のシェアを切り崩して自社のシェアを増やすことは容易ではありません。しかし、合併をすれば、お互いが保有していた業界内でのシェアを合計することができます。

シェアを高めることにより、販管費を効率化し利益をあげやすい体質をつくり、業界内での影響力を高めることができ、信用力の向上にもつながると考えられます。

  

2-1-2 メリット②:商品や技術の幅が広がる

合併によって商品や技術の幅を広げることもできる効果も期待できます。特に楽天やソフトバンクなどのIT系企業はこのパターンの合併が多いです。異業種の企業と合併、買収することによって、親和性が高いビジネス同士ならばシナジー効果が期待できます。また、リスク分散も可能です。

1つの業界やサービスに依存するとその業界やサービスに逆風が吹いた時に会社全体の業績に一気に悪影響が発生します。また、サービスの競争力を高めるためには、差別化する必要がありますが、違う業界の技術やノウハウを組み合わせることによって、差別化につながる新しいアイデアやノウハウも発生しやすくなります。

  

2-1-3 メリット③:事業を見直す機会となる

合併は事業を見直す良い機会でもあります。長らく会社を経営していると、見過ごしてきたけれどもいずれ解決しなければならない問題を多かれ少なかれ持つようになります。こうした問題は何かきっかけがなければメスを入れることが困難です。社内のガナバンスの強化や組織体制、人員配置などは合併を良い機会として見直した方が良いでしょう。

  

2-1-4 メリット④:事業承継問題を解決できる

経営者の高齢化に伴い、事業承継が社会的な問題になりつつありますが、経営者にとってどうやって引退するのかということは重要な関心事です。従業員や取引先に迷惑をかけますし、心情的にも自分が育てた事業を後世に残したいという思いを持っていれば会社を解散するとことも困難です。会社を合併することによって、従業員の雇用を守れますし、取引先に迷惑もかけません。また、事業を後世に残す事もできます。

また、会社を解散すると会社の在庫や土地や機械などの資産は帳簿額よりも大幅に減額されて、帳簿上では資産があったけれども精算したら負債が残ってしまったというケースも考えられます。このようなケースのことを想定するのならば、事業を他の会社に合併させて、現金の交付を受けた方が、実利もあります。

  

2-1-5 デメリット①:環境整備に時間がかかる

まず、デメリットとして挙げられるのが環境整備に時間がかかるということです。合併するためには、両社の人事や賃金などを中心としてさまざまなルールを改訂する必要があります。さらに、合併後の組織への人員への配置にも気を配る必要があります。

ようやくルールや環境が整備をできたと思っても、実際に業務を行うと社員がルールに慣れていなかったり、ルールやシステムの不備が見つかったりなどで、どうしても業務効率が悪くなり、合併前の調子を取り戻すのに時間がかかってしまうことが常です。

例えば、みずほ銀行は2018年から1年間かけて基幹システムの移行を行っており、毎月のようにATMを休止していますが、これはみずほ銀行が合併する際に元の銀行同士の思惑がぶつかり合って基幹システムをどうするか決定することができずに、問題を先送りにしていた結果だと言われています。

このようにお互いの会社の妥協点を探っていかなければならないことも多いので、環境整備にはどうしても時間がかかります。

  

2-1-6 デメリット②:やり直しがきかない

もう1つのデメリットとして挙げられるのが、やり直しがきかないということです。買収や提携なら株式を売却したり、提携を取り消したりすることによって、リセットすることができますが、一度合併した会社同士をもとに会社に分離することは困難です。

合併当初は環境整備とその環境に慣れるために業務効率が落ちるのはもちろんのこと、合併した後にデューデリジェンスのときに発見できなかったリスクによって業績が下がったり、片方の赤字事業に利益を圧縮されたりしてしまうなど、合併によってかえって良くない効果が発生する場合も考えられます。

 

2-2 新設合併のメリット・デメリット

続いて、上で説明した合併のメリット・デメリットに加えて、吸収合併と比較したときの新設合併のメリット・デメリットについて説明します。

  

2-2-1 メリット①:お互いの会社のメンツをたてることができる

基本的に新設合併は吸収合併よりもデメリットの多い合併手法ですが、合併するお互いの会社のメンツをたてることができるという意味では吸収合併より優れています。吸収合併は、どちらかの会社が一方の会社に吸収されるということで、吸収される側の社員は吸収合併に対してネガティブなイメージを持ちがちです。新設合併ならどちらの会社が吸収されるということではなく、お互いのメンツをたてて社員のモチベーションを落とさずに合併することができます。

  

2-2-2 デメリット①:手続きに手間がかかる

新設合併は吸収合併よりも手間がかかります。合併する会社の受け皿となる新しい会社を設立しなければなりませんし、許認可もその新しい会社名義で取得しなおさなければなりません。もちろん、許認可の取得には時間がかかるものもありますし、申請した結果許認可を得られないという可能性もあります。

このような手続きには時間も手間もかかるので、どうしても吸収合併よりも新設合併の方が合併に時間がかかってしまいます。

  

2-2-3 デメリット②:現金で対価を受け取れない

株主からすれば、新設合併の場合は現金で対価を受け取れないというのもデメリットです。例えば、合併によって、片方の会社の経営陣=株主が経営から退く場合、新設合併ではその経営陣は対価として株式や社債を受け取ることになります。

しかし、上場企業ならともかくとして、非公開企業の場合は簡単に株式や社債は現金化できないので、経営陣達にとっては非常に不便です。

また、合併後も会社に残る経営陣からすれば、旧経営陣達が株式を保有したままであるということで、何かあったら会社の経営に株主の立場から横やりをいれられるかもしれないということで、思い切った経営ができなくなるかもしれません。

 

2-3 吸収合併のメリット・デメリット

吸収合併には、新卒合併と比較してどのようなメリット・デメリットがあるのかについて説明します。

  

2-3-1 メリット①:吸収する側の会社を引き継げる

まず、第一のメリットが吸収する側の会社を引き継げるということです。新設合併のところで説明したような許認可はもちろんのこと、どちらかの会社のルールやシステムをベースに合併後の体制を検討した方が、スピーディーな環境整備が可能となります。

会社組織として実質的なメリットを取るのならば、新設合併よりも吸収合併を採用した方が良いでしょう。

  

2-3-2 メリット②:対価として現金を支払える

新設合併では、合併される旧会社の株主に対価として現金を支払うことはできません。上場企業ならともかく、非公開企業の株式は換金しにくいので経営から退くなら持っていてもあまり意味はありませんし、新設会社の経営陣からすれば旧経営陣が株式を保有しているのは経営上のリスクになります。よって、合併の対価として現金を支払えるというのは吸収合併のメリットとなります。

ただし、新設合併でもあっても、同時に株式の買取に関する契約を経営者同士で交わしておけば、このようなリスクを回避することはできるので、吸収合併の場合は対価を現金で支払えるというのはそこまで大きいメリットではありません。

  

3-3-3 メリット③:吸収される側の社員がネガティブなイメージを持つ

吸収合併では、吸収される側の会社と吸収する側の会社が存在します。新設合併の所でも説明した通り、吸収される側の社員はモチベーションを低下させる危険がありますが、さらに吸収合併に拘って、合併自体がなくなるリスクも存在します。

合併をスムーズに進める事を考えると、吸収合併の方が合理的ですが、お互いの会社が同格だと、どちらの会社が吸収する側に回るかはときとして、交渉を長引かせる原因になります。

3 合併に関する手続き

合併に関する手続きと、合併における注意点について説明します。

 

3-1 合併に関する手続き

まずは、合併に関するオーソドックスな手続きについて説明します。

  

3-1-1 合併先を調査、交渉する

まず、一番はじめに行うのは合併先の調査です。M&Aの前の企業調査のことをデューデリジェンスと呼びます。秘密保持契約などを結んで、その会社の事業や財務、法的問題、人事労務などについて総合的に分析して、自社の目的に合致する買収先かを検討します。そして、合併希望先と条件交渉をして折り合いがつけば具体的な契約に進みます。

  

3-1-2 合併契約を締結するまで

交渉した条件に従って、合併契約書を作成します。合併契約においては株主への対価、効力の発生する日など法律に決められた事項があるので、きちんと法定事項を漏らさないように契約書を作成します。そして、作成した契約書を双方の取締役会で決議すれば合併契約締結となります。

  

3-1-3 株主・債権者に通知する

取締役会が決議しれば、合併は成立するというわけではありません。まず、株主に通知・公告して、双方の株主総会で合併の承認を得る必要があります。合併の効力発生日の前日までに株主総会の承認を得られれば良いですが、合併に反対する株主からは株式を買い取らなければならず、公告から20日間は買取請求期間を設けなければなりません。債権者に対しても合併する旨を催告、公告する必要があります。そして、催告、公告から1か月以上は債権者の異議申述を設けなければなりません。

ちなみに、合併当事者に国内売上高200億円以上、50億円以上のどちらもが含まれる場合は公正取引員会の届け出が必要になります。そして、この届け出の受理日から原則30日を経過するまでは合併することができません。

  

3-1-4 効力発生日以降

株主総会で承認をもらい、債権者、公正取引委員会などをクリアして、合併の効力日になれば合併契約が効力を発生します。効力発生日から2週間以内に存続会社の変更登記と消滅会社の解散登記を行う必要があります。また、効力発生日から6か月を経過するまでは、存続会社の本店に消滅会社から承継した権利義務、合併手続きの経過を記載した書類を保存しておく必要があります。

 

3-2 合併における注意点

以上のように、合併の手続きについて簡単に説明してきましたが、注意するべきいくつかのポイントについて説明します。

  

3-2-1 デューエリジェンスはしっかりと行う

合併を成功させるためのポイントはいくつかありますが、後からトラブルの原因となりやすいのがデューデリジェンスです。デューデリジェンスと言っても、監査法人に任せっきり通り一辺倒なデューデリジェンスだけでは、簿外の債務は見つけられても経営上のリスクに気付かないまま合併して、あとから問題が表面化するということは往々にして起こりうります。問題は帳簿だけではなく、組織体制や研究開発力など、よく会社を観なければ気づかないところに存在しているかもしれません。

デューデリジェンスは慎重にしても、やりすぎになることはないでしょう。

  

3-2-2 資本施策は考えておく

合併後の資本施策についても注意しておいた方が良いでしょう。株主が分散すればするほど、経営者としては経営者の経営方針に口を挟まれたり、解任されたりするリスクが高まります。このようなリスクを防ぐためには、合併後の会社で株の分散をいかに抑えるかを考慮して、合併の条件を検討してください。

  

3-2-3 社員に情報は適宜共有する

まだ、成立するかもわからない合併を社員に公表すると社員が期待や不安を持って混乱してしまうかもしれませんが、急に合併を発表されても社員も対応できません。合併後の組織体制を構築するためには社員の協力が不可欠です。また、実際に合併することになると、実務レベルですり合わせをするのは社員から募ったプロジェクトチームになるはずです。適切なタイミングで、適切な社員に情報を共有する必要があります。

  

3-2-4 専門家を利用する

社内のリソースだけで合併を成功させるのは困難です。おそらく、合併しなれている会社というのは、多くは存在しないはずですし、合併にあたっては初めての経験がたくさん発生すると考えられます。弁護士や税理士、会計士はもちろんのこと、ITシステムの新設や組織の見直しなどが発生すると、その他の専門家も必要となります。

外部の専門家に丸投げする体制はいけませんが、経験が少ない業務をこなすために、適宜外部の専門家は利用した方が良いです。

  

3-2-5 スケジュールをきちんと組む

合併を検討し始めてから実際に合併を完了させるまでには時間がかかりますし、法的な手続きだけではなく、社内の調整を含めれば多くの工程も発生します。そして、合併を成功させるためには、これらのスケジュールを遅れることなく、適切なタイミングでこなす必要があります。経営陣がきちんとスケジュールを組んで、進行を管理する必要があります。

4 事業承継とは?

中小企業経営において、事業承継はとても重要な問題となっています。経営者の高齢化が進む一方で、後継者となる担い手も少なくなっているからです。経営者にとっては、自身が手塩にかけて育てあげてきた会社を、自身が引退した後も立派に存続、成長させることができる後継者につないでいきたいと考えるのはごく自然ですが、かつては、中小企業は親から子へと代々親族内で承継していくのが当たり前でした。しかしながら、現代では、少子化により子どもの絶対数が少なくなっていることに加えて、厳しい経済環境、競争環境の影響もあり、それが難しくなっています。そこで、このような悩みを抱えている中小企業経営者が増えてきている現状を踏まえ、政府は様々な対応を検討しています。中小企業の事業承継をめぐる課題を整理し、次世代にどのようにつなげていくのかについて新たな手法についてまとめます。その中の一つには事業承継税制を活用した節税という手段もあります。是非参考として、大切な会社を未来へとつなげてください。

 

4-1 中小企業が存続するには?

中小企業経営では必ず「事業承継」が問題になり、どのような企業においても避けられません。例え現時点で事業がうまくいっており何の問題も無いように思えても、いずれ事業承継の問題に直面するときがやってきます。全ての中小企業経営者はこのことを認識して、できるだけ早く覚悟を持ち、準備をしておくことが必要です。
まずは、この事業承継について、なぜ中小企業においてそれが問題となり、従来はどのようにそれを解決してきたのか、について整理しておきましょう。

「企業」を経営しているのは「人」です。「人」の命は永遠ではありませんから、いつか終わりの時が来ます。この点から、企業の存続にあたって、大企業と中小企業では決定的な違いが見られます。

大企業の経営は、通常、複数の取締役によって意思決定がされます。一人の代表取締役が絶大な存在感を持っている場合もありますが、たった一人で会社の全ての業務を把握することは大変難しいため、複数の取締役が責任範囲を分担して担っています。

さらに大企業では、多くの従業員を抱えており、組織的にピラミッド構造を構築しながらマネジメントスキルを育成していることから、常に経営者候補が育つ環境があります。つまり、大企業では、経営ノウハウを代表取締役一人で独占しているのではないので、交代が比較的容易なのです。

それに対して中小企業では、ほとんどの場合、経営者が一人で会社の全てのノウハウを独占し、全ての経営判断を単独で行っています。このことは、普段の事業運営の場面では、迅速な判断ができることからメリットになる面もありますが、社長の身に何かあった時は、誰も代わりができない、という大きなリスクを抱えています。

リスクが完全に顕在化するのは、経営者が高齢化や健康上の理由などにより引退しなければならない状況に至った時です。大企業のように、いつ辞めても誰かが引き継いでくれる、という環境ではないため、差し迫った状況の中で全てのノウハウを誰か別の人に伝授しなければならないわけです。これが、事業承継が中小企業特有の問題となる理由です。

 

4-2 従来の承継モデルとは?

従来は、中小企業経営とはいわゆる家業のようなもので、かつての日本的な家族感とも相まって、親から子へと代々引き継がれていくのが普通でした。中小企業の家庭に生まれた子は、当然のように親の会社を継ぐもの、という世の中の共通認識があり、またそのように育てられてきたので、何の疑問を持つこともなく承継が成立してきました。

また、子どもの絶対数も多く、仮に子どもに恵まれなかったとしても、養子を取ることも珍しく無かったという社会的な背景も、この親族間承継を支えてきました。つまり、前節のようなリスクは従来から潜在的にあったものの、それを回避できる環境があったということです。しかしながらこの環境が今は失われつつあります。

5 事業承継の現状とは?

事業承継は、かつてのように当たり前にはできない状況となっています。その背景には、現代社会が抱えている様々な課題があると言えます。事業承継の現状を理解するため、現代の事業承継を取り巻く環境を確認しておきましょう。

 

5-1 経営者の高齢化問題

中小企業経営者は、過去20年の間に高齢化がかなり進行しています。1995年には経営者の年齢として、最も多い層が47歳でしたが、2015年では66歳にまで高くなっています。さらに、20年ごろには、数十万人もの団塊世代経営者が引退時期に差し掛かってくるとも言われています。

経営者の高齢化が進むことは、事業承継が問題となる企業数がそれだけ増えていく、ということになります。むしろ、既に事業承継に問題があって経営者の交代ができていないことで高齢化していると見ることもできます。いずれにしても、経営者の高齢化問題は事業承継に深刻な影響を与えていると言えるでしょう。

 

5-2 後継者確保の問題

中小企業庁の調査では、60歳以上の経営者のうち、50%超が廃業を予定しており、廃業の理由のうち、28.6%は後継者難を理由に挙げています。後継者難とは具体的には、「子どもに継ぐ意思がない」「子どもがいない」「適当な後継者が見つからない」といった問題です。また、廃業の意思はなく、事業承継を希望している経営者の中でも半数近くが、後継者が決定していない状況である、と回答しています。

後継者の成り手が不足している状況にあると言え、より深く突き詰めれば背景に様々な状況が想定できます。単に少子化によって子どもの数そのものが減少していることもありますが、事業そのものに魅力が無く、成長も感じられないことから、継ぎたいと思えない、というケースも考えられるでしょう。

6 事業承継の新たな展開とは?

このような厳しい状況の中で、これまでの親族間承継というモデルは、もう既に難しい状況となっていると言えます。そこで、最近では、事業承継の新たな形も提案されているのです。代表的なものを確認しておきましょう。

 

6-1 親族外承継とは?

従来型の親族間承継ではなく、親族以外の者に承継するのが親族外承継です。この場合は、従業員に対して承継することが一般的です。従業員であれば、会社の内情や業務について精通していますし、承継を前提に長い時間をかけて教育していくこともできます。その意味では、大企業が行っている経営者の交代モデルの縮小版というようにとらえることもできます。

しかしながら、そもそも中小企業において従業員はそれほど多くはないので、適格者がいるかどうかということも問題になり、いたとしても従業員自身にその意思があるかどうかはまた別問題です。

もちろん、後継者人材バンクなどを活用し、社外に後継者を求める場合もありますが、よほど会社に魅力が無ければ、受け手はなかなか現れないでしょう。従業員の場合も含めて、会社の経営力を高めることが、対策として絶対条件になるでしょう。

 

6-2 M&Aモデルとは?

もう一つの事業承継の新しい形として、M&Aを活用した承継があります。M&Aというのは、合併や事業譲渡のことです。会社そのものを別の会社に売却して任せてしまうことで事業を継続し、従業員の雇用も守るということが期待できます。

M&Aの場合は、後継者を探したり育成したりするという時間が必要ありませんので、比較的短期間で事業承継の実現が可能です。さらに、M&Aの場合は事業を譲渡することと引き換えに、お金を手にすることができます。経営者が会社を売却することと同じだからです。

しかしながら、やはり買い手が見つかるかどうかという問題はあります。会社に魅力が無ければ、買い手が現れることは無いでしょう。そこで現実的な買い手の探し方として、サプライチェーン内のM&Aというものがあります。これは、いわゆる元請けに買い取ってもらうという手法です。

元請けですから、長い付き合いがあり、会社のことも良くわかってくれている、という安心感があります。元請け側からすると、下請けを買収することでサプライチェーンを統合できますから、従来よりもスケールメリットを発揮しやすくなる、という利点があります。

7 事業承継税制とは?

これまで確認したように事業承継をめぐっては様々な課題が生じてきており、あり方や手段も変革してきていることがわかりました。このような状況のもと、政府は、中小企業の事業の継続を通じた雇用の確保や、地域経済の活力維持を図るため事業承継にかかる税金の優遇措置を定め、事業承継を活性化しようとしています。

事業承継を具体的に検討する際には、節税につながるこの制度を活用できるように準備しておく必要があるでしょう。

 

7-1 事業承継にかかる税金とは?

そもそも事業承継には税金がかかるという認識が必要です。事業を承継するということは会社という財産を経営者から後継者に移転することになるため、この財産移転に対して課税されるのです。

まず、一つ目は相続税です。これは、親族内承継の場合のみ問題となりますが、相続人が被相続人から財産を引き継ぐことによって課税される税金です。一般的には、土地や建物、現金などの遺産を相続する際にかかる税金と同じもので、経営者が亡くなって、子どもなどが会社財産を相続した場合に課税されます。

そして、生前贈与の場合には贈与税が課税されます。これも通常の財産と同様に、個人から個人へと財産を贈与したことに伴って、課税される税金です。このように、事業承継では、相続税あるいは贈与税が課税され、その負担額はとても大きなものとなっています。このことが、事業承継をためらう一つの原因となっているとも考えられます。

 

7-2 事業承継税制のポイント

事業承継税制は、後継者である受贈者や相続人が、一定の条件のもとで株式等を贈与·相続された場合に、相続税·贈与税の納税を猶予し、さらにまた一定の条件のもとで納税を免除するものです。

この制度の適用を受けるためには、経営承継円滑化法にもとづく都道府県知事の「認定」を受けていること、申告の期限から5年間は代表者として経営を行うこと、それ以降も株式等を継続保有することなどが求められます。以上の条件をクリアすれば納税が猶予され、さらに、この後継者が死亡したり、次の後継者に贈与したりした場合には、猶予されている相続税·贈与税の納税が免除されます。

まず初めに、会社が「特例承継計画」を策定し、商工会議所等の認定経営革新等支援機関の所見を得ます。それをもとに、都道府県知事に認定申請をします。無事に認定が得られたら、認定書の写しとともに、贈与税の申告書等を税務署へ提出します。その後5年間は、都道府県庁に「年次報告書」、税務署には「継続届出書」の提出が年に1度必要となります。

6年目以降は、「継続届出書」を3年に1回税務署に提出し続けます。その後は、納税免除の要件を満たすか、猶予要件の消滅により納税義務が発生するかのどちらかです。

このように、事業承継税制は、納税の猶予だけではなく、免除まで想定されていますから、事業承継を実行する上でこの制度は、かなり有利であると言えます。もし事業承継が決定しているのであれば、忘れずに必ず申請しましょう。

8 会社が倒産する5つの理由

企業が成功する理由は千差万別ですが、倒産する企業の理由には決まったパターンがあります。以下では会社が倒産する理由を5つに分類して、どのような理由なのかとその対策についてご紹介します。倒産の大半は早めに手を打つ事によって回避可能です。「倒産なんて縁起でもない」「自社には縁が無い」と思っている経営者もぜひご参考ください。

9 「会社が倒産する」ということとは?

最終的に会社が倒産する理由は1つだけで「運転資金が無くなること」です。運転資金がありさえすれば、後で挙げる典型的な倒産理由「市場環境の変化」「販売不振」「組織崩壊」「突発的なリスク」が発生したとしても事業を継続することができます。

つまり、この直後に説明する倒産理由①「資金が無くなる」ということについて経営者は特に注意をしなければなりません。ちなみに、運転資金が無くなって事業が継続できなくなり倒産した場合、会社を精算し消滅させる「破産」のパターンと、その状態から事業を継続する「再建」の2パターンの選択肢が考えられますが、その過程で経営者は大抵の場合、自己破産や多額の債務を背負うことになります。

中小企業が融資を受ける場合は大抵経営者が連帯保証人となっているので、会社の負債がそのまま経営者に引き継がれるケースが多いからです。逆に、会社の負債の連帯保証人になっていない場合、経営者は出資金の損失だけで済むので、生活再建も行いやすいです。

また、固定資産を多く持っている会社の場合、運転資金が無くなって会社を清算しても経営者の手元に現金が残るというケースも考えられます。

もちろん会社を倒産させないに越したことはありませんが、倒産したときのダメージをいかに少なくするのかを考えて経営した方が良いでしょう。

10 倒産理由①:資金が無くなる

では、個別の倒産理由について紹介します。まず1つ目に紹介するのが、「資金が無くなる」というケースです。

 

10-1 黒字でも会社は倒産する

会社が黒字であっても運転資金が無くなるいわゆる「黒字倒産」には注意する必要があります。黒字の会社は保有している現金以上に事業運営に必要な費用が大きくなっていることがあり、売上が入金されるタイミングと経費を支払わなければならないタイミングによっては、帳簿上黒字であっても運転資金が無くなることがあります。もちろん、黒字であっても運転資金が無くなり、資金調達したり、支払いのリスケができなければ倒産になります。赤字の会社は資金がショートしないように注意しますが、黒字の会社でも資金が尽きないように注意する必要があります。

冒頭で説明した通り、会社が倒産する最終的な理由は運転資金が確保できなくなったときなので、倒産理由の中でも運転資金の枯渇には常に注意しておいた方が良いでしょう。

 

10-2 資金を欠かさないためには

運転資金を欠かさないためには、常に余裕を持った運転資金を確保しておくことも重要ですが、資金繰りをきちんと管理することが重要です。貸借対照表や損益計算書を作成するための一般的な簿記だけでは資金繰りを把握することはできません。帳簿上の売上や経費の発生のタイミングと実際の売上の入金や経費の出金のタイミングは異なるからです。

入金や出金に焦点を当てた資金繰り表を作ることによって、会社の運転資金の状況を可視化することが可能です。

11 倒産理由②:市場環境の変化

続いて倒産理由の2つ目にあげるのが市場環境の変化です。市場環境の変化にどのように対応するのかは経営者にとっての永遠のテーマでもあります。

 

11-1 市場は進化、衰退する

マーケティングの世界では「プロダクトライフサイクル理論」というものがあります。すべての商品やサービスは、黎明期からコツコツと市場を拡大し、一定以上普及すると成長期として一気に普及し、その後、飽和期を迎えて市場は停滞し、いずれ停滞期に向かって市場は縮小していくという理論です。一般的に衰退期になると、多くの企業は事業として利益をあげることができず、一部のビックプレイヤーだけが利益を上げている状態になります。

つまり、1つの事業で成功してもその事業で永遠に会社を存続できるわけではないということです。経済ニュースを見れば、昔は優良企業と言われていた企業が倒産の危機に直面したり、新興企業に買収されたりというニュースもよく目にします。これらの企業が発生するのは市場のサイクルに合わせて、成長、衰退し、次の収益事業を見つけるのが困難だった企業達とも言えます。

 

11-2 衰退市場で生き残るためには

市場の衰退に合わせて会社を衰退・倒産させてしまわないためには、事業の集中と選択が必要です。黎明期・成長期のマーケットにおいては1つの事業に資本や人員を集中投下するのも良いですが、その体制を衰退期まで継続している企業は非常に危険です。何らかの事業で収益が発生しているからこそ、その収益を活かして次の事業への投資を行った方が良いでしょう。

次の事業については、まったくの新規事業を行うのも良いですが、自社の保有している技術力や顧客基盤、ブランド力などを活かせる事業が良いでしょう。業界全体は衰退していても特定の製品ジャンルは成長していたり、特定のビジネスモデルは成長していたりと、少し業界、業種への見方を変えることによって成長への糸口は見つかるはずです。

12 倒産理由③:販売不振

3つ目に紹介する倒産理由が販売不振です。販売不振には色々な理由が考えられますので、きちんと原因を分析することが必要です。

 

12-1 なぜ販売不振は発生するのか

販売不振が発生するのには様々な理由が考えられます。販売不振の多くの理由は競合に負けているからです。競合の方が商品やサービスの質が高く、価格も安いのであればどうしても販売競争で不利になってしまいます。

ただし、この他にも色々な販売不振の理由が考えられます。例えば、市場が衰退している場合です。これは先ほど説明した市場が衰退するという理由にも連動していますが、市場規模が縮小している業界や製品で売上を上げ続けるのは困難です。何も対策をしていないと大抵の場合、販売不振となります。また、逆にまだ世の中にない斬新な商品を開発して、市場規模ゼロから事業を成長させようとする場合にも販売不振は発生します。

 

12-2 販売不振を防ぐためには

販売不振を防ぐためには理由別の対策を行う必要があります。競合に負けている場合はまず、質を高めて、コストパフォーマンスの良い商品やサービスを作る必要があります。その上で、マーケティングやセールスを工夫して売上アップを図ります。

市場が衰退期の場合でもマーケティングやセールスに予算を投下することによって一定の売り上げをあげることができますが、本質的には市場を変えたり、新商品やサービスを投入したりすることを考えた方が良いでしょう。

市場が黎明期の場合は、ターゲットを正確に見定めてマーケティングセールを行う必要がありますが、大抵の場合はどうがんばっても赤字が続きます。よって、大きな資金が必要になります。赤字を前提に上手くいっている事業から予算を回すか、将来性が期待できるビジネスならベンチャーキャピタルやエンジェル投資家からの出資を募ると良いでしょう。

13 倒産理由④:組織が崩壊する

4つ目は、組織が崩壊するパターンです。経営にはヒト・モノ・カネの3つの要素があるとよく言いますが、ヒトとヒトによって構成された組織は経営にとって非常に重要な要素です。

 

13-1 会社における組織の重要性

いくら優れているビジネスモデルであっても、その事業を運営するヒトがいなければ収益をあげることができません。そして、中小企業ほどそこで働いている人の能力に業績が左右されます。経営層とは別に、現場社員・管理職の中に優秀な社員がいて、その社員が組織をまとめている、売上を作っているという企業も多いのではないでしょうか。このような組織の場合、その優秀な社員が退職することによって、売上が急激に低下したり、連鎖的に他の社員も退職したりしてしまうケースがあります。

大企業の場合は、社員よりも組織力をベースに事業を行うので、一人の社員の退職が業績に大きな影響を与えることは少なくなります。

 

13-2 組織の崩壊を防ぐためには

組織の崩壊を防ぐためには、組織そのものよりも、核となる社員をきちんと育成すること、その社員が離職しないような仕組み作りが必要になります。そのためには、きちんとした報酬を社員に与えなければなりませんし、社員教育にも力をいれなければなりません。

ただし、社員に配慮しすぎて会社組織として合理的な決断をできなくなってしまったのでは本末転倒です。例えば、親の世代から息子の世代に事業承継した場合に、親の世代のときの番頭役の社員はときとして、息子の世代の経営者が始める新しいことに抵抗する場合があります。その番頭役がいないと事業が上手く回らないとしても、次世代のことを考えてその人の言うことを聞かなかったり、最悪の場合は退職してもらったりすることもあるでしょう。組織の崩壊は防がなければなりませんが、組織の崩壊を覚悟しないと会社は成長しないという場面はあります。

14 倒産理由⑤:突発的なリスクに備える

最後に、突発的なリスクによる倒産についても検討します。今までは問題なかったのに、ある日突然、多額の負債が発生して倒産してしまうというケースも存在します。

 

14-1 連鎖倒産

突発的なリスクとして気を付けたい1つ目の要因が連鎖倒産です。取引先が倒産して売掛金が回収できなくなって資金が足りなくなって倒産するケースがこのパターンに該当します。連鎖倒産を防ぐためには、売掛金のサイトを短くする、現金決済するなどの方法がありますが、与信管理に特に気をつけた方が良いです。倒産する企業は大抵の場合、倒産しそうな兆候を見せているので、与信管理で危ない企業の取引枠を少なくしたり、決済方法を変えたりしてリスクコントロールする必要があります。

 

14-2 災害・事故

2つ目に気を付けたいのが、天災や事故によって、復旧や賠償に多額のお金が必要になって倒産するケースです。天災についてはリスク軽減しにくい点もありますが、大抵の事故については保険によってリスクコントロールすることができます。もし発生すれば会社の経営に甚大な影響を与えかねない事故のリスクについては保険を設定しておいた方が良いでしょう。また、事故そのものを発生させないように日頃の安全点検などにも気を配った方が良いでしょう。

 

14-3 訴訟リスク

3つ目に気を付けたいのが、訴訟などに管理するリスクです。販売した商品が他の会社の特許権を侵害して多額の損害賠償を求められたり、商品の不具合によって顧客に損害は発生したりして訴訟になるリスクも存在します。このようなリスクを避けるためにはきちんとリーガルチェックを行う必要があります。もちろん、小さな企業で法務部を持つことは困難ですが、法務部を持てない場合でもリスクの高そうな要因については弁護士と相談するなどによってリスク回避をする必要があります。

会社が倒産理由について細かく言えば会社が倒産する要因はこの他にも存在するかもしれませんが、とりあえずは本記事で説明した5つのリスクに備えておいた方が良いでしょう。

近年は会社を成長させるよりも、会社を倒産させないように経営することが難しい時代になっています。一般的に創業から10年経って残っている会社は1割未満だと言われていますし、世の中の変化が激しくなっているため、企業の寿命も短くなっていると言われています。

このような経営環境においては会社を成長させると同時に倒産しないように気を使う必要があります。ただし、いたずらに損失を拡大させる位なら会社を清算するというのも選択肢の1つです。負債が少ないうちに会社を清算すれば経営者の手元にも資金が残って、その資金でまた新しい事業ができるかもしれませんし、会社の融資の連帯保証人になって個人的な負債を増やすよりも傷口が浅くて済む場合があります。会社を倒産させないためのリスクヘッジも必要ですが、賢く会社を清算する為の知恵もまた同時に必要です。

15 まとめ

以上のように会社の合併や事業継承問題、会社の倒産について紹介してきました。日本の法律で定められている合併は吸収合併と新設合併の2種類だけですが、合併には、合併した会社の数だけの物語があります。どの合併をとっても紋切り型の手続きで処理できるというわけではありません。会社が合併するということは、そこで働く従業員にとっても大変ですが、経営者にとっても大きな決断です。合併を成功させるためには、合併先の企業の良し悪しをきちんと見定めた上で、たくさんの工程を踏む必要があります。

さらに、どれだけ注意して、合併先をデューエリジェンスして、合併後の環境をきちんと整備しても、すぐ効果がでるケースはほとんどありませんし、最終的に成功だったか失敗だったかがわかるのは数年後で、さらに1回成立させた合併を解消するのは困難です。

このように合併には多くのリスクが存在するからこそ、大きなメリットもあります。業界内でのシェアを高めるということは企業にとって基本的な戦略ですし、合併する企業同士のシナジー効果が会社の新しい競争力の源泉となります。

合併だけに拘る必要がありませんが、他の企業のリソースを活かすということは、企業間競争に勝ち残るためには非常に重要なことなので、合併だけではなく買収や提携も検討しながら、自社の成長プランについて考えた方が良いでしょう。