会社設立で法人口座を開設するのに、メガバンクや地方銀行だけでなく、「ネット銀行」で開設する選択肢もあります。ネット銀行は、メガバンクや地方銀行にはない大きなメリットがあるからです。ただし、デメリットもあるので、最適な選択を取るのにメリットとデメリットの両方を把握することが大切です。

今回の記事では、ネット銀行で法人口座を開設するメリット・デメリット、法人口座の開設手順などを解説します。ネット銀行で法人口座を開設しようか検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

1 ネット銀行の概要

ネット銀行の概要

ネット銀行とは、おもにインターネット上で通信端末を用いて取引を行う銀行を指します。実店舗がないため、インターネットか電話でしか取引を行えません。ネット銀行の主な特徴は下記の通りです。

  • ・インターネット上で手続きを行う
  • ・取引履歴紹介をWebで確認できる
  • ・預金金利が高い
  • ・営業時間が24時間365日
  • ・記帳の手間を省ける

インターネット上での取引となるため、メガバンクや地方銀行のように融資の相談などを対面で行うことができないので、少々不便な面があります。

しかし、ネット銀行は実店舗がないため、メガバンクや地方銀行より手数料を抑えられるのが大きなメリットです。次で、ネット銀行で法人口座を開設するメリットについて詳しく解説します。

2 ネット銀行で法人口座を開設する5つのメリット

ネット銀行で法人口座を開設する5つのメリット

ネット銀行で法人口座を開設するメリットは下記の通りです。

  • ・手数料が安い
  • ・口座維持に手数料がかからない
  • ・インターネットで全ての手続きを完結できる
  • ・法人向け特典が充実している
  • ・原則24時間365日対応可能

それぞれ詳しく確認していきましょう。

2-1 手数料が安い

ネット銀行は、手数料が安いことが大きなメリットです。普通預金口座であれば、同行の振込手数料が無料になることも少なくありませんが、法人口座だと同行宛てでも手数料が発生する場合があります。

特に、他行宛ての振込手数料が高く、メガバンクで700円ほど、地方銀行で500円前後かかります。一方、ネット銀行は同行宛てで振込手数料が無料の銀行もあり、他行宛ての振込でも数百円と安いです。そのため、振込回数が多い会社であるほど手数料コストを抑えられます。

主要銀行の振込手数料一覧は、下記の通りです。

銀行名 振込手数料
GMOあおぞらネット銀行 同行宛て:一律無料
他行宛て:一律145円
住信SBIネット銀行 同行宛て:一律無料
他行宛て:一律145円
楽天銀行 同行宛て:一律52円
他行宛て:150円(3万円未満)229円(3万円以上)
PayPay銀行 同行宛て:一律55円
他行宛て:一律160円
三井住友銀行 同行宛て:110円(3万円未満)220円(3万円以上)
他行宛て:550円(3万円未満)770円(3万円未満)
三菱UFJ銀行 同行宛て:110円(3万円未満)330円(3万円以上)
他行宛て:484円(3万円未満)660円(3万円以上)
横浜銀行 同行宛て:110円(3万円未満)330円(3万円以上)
他行宛て:385円(3万円未満)550円(3万円以上)
関西みらい銀行 同行宛て:一律330円
他行宛て:一律605円

上記の中でネット銀行は下記の通りです。

  • ・GMOあおぞらネット銀行
  • ・住信SBIネット銀行
  • ・楽天銀行
  • ・PayPay銀行

振込手数料が最も安いのは「GMOあおぞらネット銀行」「住信SBIネット銀行」です。法人口座開設先の判断材料は、振込手数料の金額だけではありませんが、ひとつの判断材料として参考にしてください。

2-2 口座維持に手数料がかからない

法人口座の大半は口座を維持するために手数料が発生しますが、ネット銀行は口座を維持するのに手数料がかかりません。というのも、ネット銀行はインターネット上で取引を行っているため、口座維持費用が無料になっています。法人口座の維持費は月額2,000円ほどと安くはなく、手数料の節約を期待できます。

下記の表に法人口座の維持手数料についてまとめてあるので、参考にしてください。

銀行名 法人口座の維持手数料
GMOあおぞらネット銀行 無料
住信SBIネット銀行 無料
楽天銀行 無料
PayPay銀行 無料
三菱住友銀行 月額2,200円
三菱UFJ銀行 月額1,760円
横浜銀行 月額2,200円
関西みらい銀行 月額2,000円

ご覧のように、ネット銀行は無料で、メガバンクや地方銀行は2,000円ほどの月額料金が発生していることがわかります。年間に換算すると20,000円以上の節約になります。口座維持手数料を節約できることが、ネット銀行で法人口座を開設する大きなメリットです。

2-3 インターネットで全ての手続きを完結できる

ネット銀行では、口座の開設・振込・決済などの全ての手続きをインターネット上で完結できます。法人口座の開設のために必要な書類も、わざわざ銀行に行かずともインターネットを利用すれば作成可能です。多忙でなかなか銀行に行く時間が取れない方には大きなメリットであるといえます。

2-4 法人向け特典が充実している

GMOあおぞらネット銀行や楽天銀行では、法人向け特典が充実しています。下記の表に特典についてまとめてあるので、参考にしてください。

銀行名 主な特典
GMOあおぞらネット銀行 ・「Visaビジネスデビットカード」新規発行手数料・年会費無料
・Visaビジネスデビットカードの利用額の1%をキャッシュバック
・不正利用補償付き(上限1,000万円)
・取引実績に応じてGMOポイントやPontaポイントがつく
楽天銀行 ・「楽天銀行ビジネスデビットカード」の新規発行手数料無料(年会費1,100円)
・楽天銀行ビジネスデビットカードの利用額1%をキャッシュバック
・国内だけでなく海外やオンラインでも利用可能

ビジネスデビットカードの新規発行手数料・年会費が無料です(楽天銀行ビジネスデビットカードは1,100円)。また、GMOあおぞらネット銀行では、取引実績に応じてポイントまでつきます。

メガバンクや地方銀行にはない特典があるのも、ネット銀行で法人口座を開設するひとつのメリットです。

2-5 原則24時間365日対応可能

インターネット上で取引ができるネット銀行は、原則24時間365日対応可能です。メガバンクや地方銀行のシステムでは、アクセスできる時間が限られている銀行も少なくありません。ネット銀行であれば、口座開設・振込・決済・残高照会などを、ご自身の都合のよいときに行えるのは大きなメリットです。

ここまで、ネット銀行で法人口座を開設するメリットについて解説しました。次は、ネット銀行で法人口座を開設するデメリットについて解説します。

3 ネット銀行で法人口座を開設する4つのデメリット

ネット銀行で法人口座を開設する4つのデメリット

ネット銀行で法人口座を開設するデメリットは下記の通りです。

  • ・社会保険料の引き落としに未対応
  • ・メガバンクと比較して知名度が低い
  • ・実店舗がない
  • ・銀行から融資を受けにくい

順番に解説します。

3-1 社会保険料の引き落としに未対応

ネット銀行では、社会保険料の引き落としに対応していません。理由は、「国庫金・公金の取扱い指定金融機関」に該当しないためです。社会保険料の支払いが遅れると、補助金や助成金などの支援を受けられなくなる可能性もあるので、注意が必要です。

3-2 メガバンクと比較して知名度が低い

ネット銀行の知名度が低いわけではありません。しかし、知名度のあるメガバンクと比較するとどうしても差はあります。この知名度の差が、会社の信用に大きく関わる可能性があります。

主な取引先がネット銀行よりも、メガバンクと取引している会社のほうが社会的信用を得られるでしょう。信用はビジネスをする上で極めて重要な要素のひとつと考えられるため、知名度が低いのはデメリットの一つです。

3-3 実店舗がない

ネット銀行のため、実店舗がないこともデメリットです。融資などの事業運営において大切な話も対面で相談することができません。電話で話すことはできますが、電話で話すより対面で話したほうがやり取りも捗るでしょう。

そのため、将来的に事業規模を拡大していきたい企業には、ネット銀行で法人口座を開設するのは向いていない可能性があります。

3-4 銀行から融資を受けにくい

ネット銀行は、メガバンクと比較すると銀行から融資を受けにくいです。メガバンクや地方銀行で取引実績を作ると、銀行としても融資をしたいと考えます。しかし、ネット銀行の場合は、取引実績が充実していても融資サービスがないと融資できません。

そのため、銀行から融資を受ける予定のある企業は、ネット銀行での法人口座の開設を慎重に検討する必要があるでしょう。

4 ネット銀行で法人口座を開設するのに向いている法人

ネット銀行で法人口座を開設するのに向いている法人

ここまで、ネット銀行で法人口座を開設するメリット・デメリットを解説しました。メリット・デメリットを考慮して、ネット銀行で法人口座を開設するのに向いている法人は下記の通りです。

  • ・振込手数料を抑えたい
  • ・口座維持手数料を抑えたい
  • ・多忙でなかなか銀行に出向く時間が取れない
  • ・事業規模を大きく広げる予定がない

メリット・デメリットを考慮して、会社にとって最適な銀行で口座を開設することが大切です。

5 ネット銀行で法人口座を開設する方法

ネット銀行で法人口座を開設する方法

ここでは、ネット銀行で法人口座を開設する方法を解説します。ネット銀行で法人口座を開設するメリットを知り、「ネット銀行で法人口座を開設しようかな」と興味をもたれた方もいるでしょう。ネット銀行で法人口座を開設することに興味をもたれた方は、ぜひ参考にしてください。

5-1 必要書類を準備する

ネット銀行で法人口座を開設するために、まずは書類を準備する必要があります。必要な書類は下記の通りです。

  • ・法人口座開設申込書
  • ・印鑑証明書
  • ・登記簿謄本
  • ・法人番号の確認書類
  • ・取引責任者本人確認書類
  • ・事業内容が確認できる書類
  • ・会社の実態を証明できる書類

実店舗があるメガバンクや地方銀行とは違い、会社の実態を証明できる書類や、事業内容が確認できる書類が必要です。実店舗のある銀行で手続きするより必要な書類が多いため、不備がないように注意しましょう。

5-2 ネット銀行で法人口座を開設するための6つの手順

ネット銀行で法人口座を開設するための手順は下記の通りです。

  1.  法人口座開設申込フォームを入力
  2.  法人口座開設申込書を印刷
  3.  前述した必要書類を郵送
  4.  審査
  5.  審査に合格した場合ログインID・ログインパスワードが発行される
  6.  取引開始

法人口座申込フォームに入力するのは少し手間がかかりますが、それ以外は簡単です。審査に合格すれば、すぐにインターネット上で取引を開始できます。

6 会社を設立するメリット・デメリット

会社を設立するメリット・デメリット

会社(法人)は個人事業主とは異なるメリット・デメリットがあります。

  • ・社会的な信用がある
  • ・資金調達方法が増える
  • ・会計処理における利点(経費処理の範囲拡大や欠損金を10年繰り越し可能)
  • ・節税ができる(所得が高ければ、節税効果が高まる)
  • ・事業の責任を有限にできる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

6-1 社会的な信用がある

会社を設立する上でのメリットの一つ目は、社会的な信用があることです。皆さんも取引先から商品等を購入するときは、ただの個人事業主より「株式会社」等の法人の肩書があった方が、何となく安心感があると思います。その安心は、信用になります。

信用というのはビジネスの上ではとても重要な要素で、信用があればあるほど、取引先の拡大にもつながります。大きな企業ほど、個人事業主とは取引をしない傾向もあり、会社を設立することで個人事業主では受注されなかったような大きな取引が生まれる可能性もあります。大きな事業を行いたいと思っている方は、法人化をおすすめします。

6-2 資金調達方法が増える

会社を設立し、社会的な信用を得ることで、金融機関からの融資が受けやすくなります。また、株式会社であれば出資でお金を集めることもできます。

6-3 経費処理や欠損金の繰り越し期間の拡大

続いての会社設立のメリットは、会計処理の面で個人事業主より会社(法人)の方が有利な点です。

  • ・経費として認められる範囲が拡大
  • ・欠損金を10年繰り越し可能

会社(法人)は「給与」などの人件費を経費として計上ができます。また、金額の大きい「賞与」「退職金」も経費として計上ができます。また、欠損金(赤字)は、個人事業主では3年のところ、会社(法人)では10年繰り越しができます。これらの点は会計処理の面で大きな節税効果を生みます。

6-4 節税ができる

会社(法人)は、前述した会計処理上の節税効果に加え、所得が高いほど税金の節税効果が高まります。これは個人事業主と会社(法人)とでは、税金の種類が違うことが要因です。

  • 個人事業主:所得税
  • 会社(法人):法人税

所得税は累進課税となっており、所得が高くなるほど、税率もあがります。例えば、所得695万円~900万円の場合の税率は23%で、所得900万円を超えると税率が33%になります。(最大45%)一方、法人税は資本金が1億円以下の法人の場合、所得が800万円以下なら15%で、それ以上なら23.20%となっています。

所得が高くなれば、会社(法人)の方が節税効果は高いと言えます。ただし、これは単純な所得のみで、実際に会社を設立するときは、様々な観点からシミュレーションすることを推奨します。一般的には所得が800万円程度見込めるのであれば、会社設立を検討してよい段階といえます。

6-5 事業の責任を有限にできる

会社の形態は、株式会社、合同会社、合名会社、合資会社の4種類があります。ほとんどの方が株式会社か合同会社を選択しています。この理由としては、株式会社と合同会社は事業の責任が有限(有限責任)であるからです。

一方、個人事業主や合名会社、合資会社は、経営が悪化し倒産した際、未払金や金融機関からの借入金など、会社で払えなかった負債は、個人の資産から払うこととなり、大きなリスクがあります。(無限責任)

株式会社や合同会社の責任は出資金の範囲が上限となるので、リスク回避という意味で、とても大きな利点となります。

6-6 社会保険に必ず加入しなければならない

会社を設立すると、必ず社会保険に加入しなければなりません。社会保険は保証が厚いものの、会社と労働者が折半して負担するため、会社としては費用が発生します。

6-7 事務負担の増加、設立や運営にコストがかかる

会社(法人)は決算書作成が義務付けられており、会計ルールが個人事業主より厳密となっています。その分の事務負担が発生します。また会社を設立するにも、法務局の登録免許税や公証役場の定款の認証にかかる手数料等、約25万円程度発生します。

これらのデメリットを考慮の上で、会社設立をするのか、個人事業主として開業するのかを選択しましょう。

7 会社を設立するための4つのステップ

会社を設立するための4つのステップ

それでは、会社を設立するための手順を確認していきます。司法書士に申請代行を依頼することもできますが費用も発生するので、今回は自分で会社を設立する方法を紹介します。

会社を設立するには大きく4つの手順からなります。

  • ステップ1 会社の基本情報を決める
  • ステップ2 定款を作成
  • ステップ3 資本金準備
  • ステップ4 登記申請

7-1 会社の基本情報を決める

まずは、会社の基本情報を決めていきます。どのような事業を営んでいくかということはもちろんですが、次のステップである定款作成で必ず記載しなければいけない①事業の目的、②商号(会社名)、③本社の所在地、④資本金額、⑤発起人の氏名と住所等は必ず決める必要があります。

この他にも、設立日や決算期をいつにするのか、会社印の作成等、会社を動かす上で基本的なことは、この時に決めておきましょう。

7-2 定款を作成

次に定款を作成します。定款とは、会社の方針や運営方法を掲載しているルールブックです。会社にとっての根幹となりますので、慎重に決めましょう。また、定款には必ず記載しなければならない項目(絶対的記載事項:下記5項目)があり、この項目がないと定款自体が無効となりますので、注意しましょう。

【絶対的記載事項】

  1.  事業の目的
  2.  商号(会社名)
  3.  本社の所在地
  4.  資本金額
  5.  発起人の氏名

定款には「絶対的記載事項」のほか、「相対的記載事項」と「任意的記載事項」があります。「相対的記載事項」は、定款に必ず記載する必要はありませんが、定款に記載しなければ効力を発揮しない事項です。また「任意的記載事項」は、定款に記載しなくても良いですが、記載をすることで会社の規則をより明確にできるという事項です。「相対的記載事項」と「任意的記載事項」の例は下記の通りです。

【相対的記載事項】

  • ・現物出資
  • ・財産引渡
  • ・発起人の報酬
  • ・設立費用
  • ・株式の譲渡制限に関する規定
  • ・株主総会の招集通知を出す期間の短縮
  • ・役員の任期の伸長
  • ・株券発行の定め

【任意的記載事項】

  • ・事業年度
  • ・取締役を始めとした役員の人数
  • ・役員報酬の決定方法
  • ・株主総会に関する事項
  • ・株券発行の手続き方法
  • ・議決権の代理代行者

以上の記載事項を考慮して、定款の作成をしましょう。「任意的記載事項」については、記載する必要はありませんが、決定事項であれば他の規則を新たに決める必要もなくなりますので、記載できるのであれば記載しましょう。

最後に定款の作成ができたら、公証役場にて認証手続を行います(株式会社の場合)。合同会社等は認証手続をする必要はありません。なお、公証役場にて必要となる書類は下記の通りです。

【必要書類】※発起人が個人で、発起人が公証役場に行く場合

  • ・定款3通
  • ・実質的支配者となるべき者の申告書
  • ・発起人の印鑑登録証明書(3カ月以内のもの)
  • ・発起人の実印もしくは身分証明書+認印

7-3 資本金準備

定款の作成・認証手続が終わったら、資本金の準備となります。資本金は発起人(会社を設立する人)の個人口座に振り込みます。※会社の銀行口座は、会社の登記が終わらないと作れないため、発起人の個人口座へ振り込みます。

資本金については、法律上1円からでも会社の設立は可能です。しかしながら、資本金は会社の信用度の指標にもなりますし、事業開始時は銀行からの借り入れも難しいことから、事業開始から3カ月分の運営費は資本金として最低限準備したほうが良いでしょう。

7-4 登記申請

最後に法務局にて会社の登記申請を行います。登記申請の受付日が会社設立日となります。必要書類は下記の通りです。

【必要書類】

  • ・設立登記申請書
  • ・定款
  • ・登録免許税納付用台紙
  • ・発起人決定書(発起人議事録)
  • ・代表取締役等の就任承諾書
  • ・取締役の印鑑証明書
  • ・印鑑届書
  • ・出資金の払込証明書
  • ・登記すべき事項を記載した書面又は保存したCD-R

以上が会社設立の流れとなります。会社を設立する費用については、会社形態や資本金の額等で違いますが、株式会社を設立する時、定款の認証手続や会社の設立時にかかる登録免許税等で、約250,000円費用が発生します。

8 会社設立後に必要な手続き

会社設立後に必要な手続き

登記申請が終われば、会社を設立したことになります。ただ、会社を運営していく上で、必要な手続きはこれだけではありません。設立後にしなければならない手続きの概要を紹介いたします。

8-1 税金関係の届け出

会社(法人)には、様々な税金(法人税・法人住民税・法人事業税等)が発生します。税務署や都道府県税事務所、市町村役場(税務関係部署)に提出する必要があります。

届出先 必要書類
税務署 ・法人設立届出書
・青色申告の承認申請書
・給与支払事務所等の開設届出書
・源泉所得税の納付の特例に関する申請書
(従業員数10名未満の場合。※必ず申請する必要はない。)
・定款の写し
都道府県税事務所 ・法人設立届出書
・定款の写し
・登記事項証明書の写し
市町村役場 ・法人設立届出書
・定款の写し
・登記事項証明書の写し

8-2 社会保険の届け出

会社(法人)には、社会保険(健康保険、厚生年金)の加入義務が発生します。これは社長が1人の会社でも同様です。手続きは年金事務所で行うことができます。

【必要書類】

  • ・健康保険・厚生年金保険新規適用届
  • ・登記事項証明書の原本
  • ・被保険者資格取得届
  • ・被扶養者(異動)届 ※扶養者がいる場合に必要

8-3 労働保険の手続き

こちらは従業員を雇用する場合に必要となります。労災保険は労働基準監督署、雇用保険はハローワークで手続きが必要となります。

届出先 必要書類
労働基準監督署 ・労働保険保険関係成立届
・労働保険概算保険料申告書
・適用事業報告書
ハローワーク ・雇用保険被保険者資格届
・雇用保険適用事業者設置届

8-4 会社の口座を開設する

会社の設立ができれば、会社の口座も開設することができます。個人の銀行口座と違い、開設までの時間も要しますし、登記簿謄本や定款等が必要書類も多いです。必要な書類は金融機関によって異なりますので、事前にホームページなどで調べておきましょう。

9 まとめ

ネット銀行で法人口座を開設するメリット・デメリットや、法人口座の開設方法について解説しました。ネット銀行の大きなメリットとしては、メガバンクや地方銀行と比較して手数料が安いことです。

少しでも手数料を抑えたい企業にとっては、ネット銀行で法人口座を開設するのはメリットでしょう。その反面、メガバンクや地方銀行と比較して知名度が低く、銀行から融資を受けにくいことが挙げられます。

そのため、事業規模を拡大していきたい企業にとっては、ネット銀行で法人口座を開設するのは向いていない可能性があります。会社の事業規模や状況を考慮した上で検討することが大切です。