今回の記事では、会社設立時の住民票や本店所在地、マイナンバーカードの取得方法について取り扱います。会社設立に関する情報を得ることは、少しでも早く会社を設立してスムーズに経営を始められることに繋がりますので、ぜひ参考にしてみてください。

1 住民票とは何か?

住民票とは何か

住民票とは、その住民が住んでいる場所(居住地)を、自治体(市区町村)が証明する書類です。住民は住民票に記載されている住所で選挙を行い、そしてそこの自治体に住民税を納付することになります。

したがって、引越しをした場合は速やかに引っ越し先の住所に住民票を移さなければいけません。なお、住民票は人間の書類であるため、疑似人格である法人=会社には存在しません。

住民票に似ているものとして「戸籍(謄本)」があります。戸籍とは、その人の本籍や出生、死亡、婚姻、離婚等の身分事項を証明するための書類です。ただし、戸籍には現在の住所に関する情報は記載されていないため、その人が今住んでいる場所を証する書類はあくまでも住民票となります。

住民票は自治体が発行する書類ですので、取得するには開庁時間内に市区町村役場(出張所含む)に赴く必要があります。または役場の窓口ではなくとも、自治体によって多少扱いが異なりますが、郵送、あるいはキオスク端末のあるコンビニでもマイナンバーカードを用いることで取得することができます。

マイナンバーカードによるコンビニでの住民票取得は、その市区町村ではない地域のコンビニからでも可能です。ただし、コンビニが24時間営業であっても住民票を取得できる時間帯は、午前6時30分から午後11時までと定まっています。

また、コンビニでの取得にはマイナンバーカードのパスワードの入力が必須です。もし3回連続で間違えた場合はロックがかかり、それ以上手続きができなくなります。ロック解除はその市区町村役場の窓口で行います。

2 会社設立時の住民票の取得について

会社設立時の住民票の取得について

会社設立には住民票が必要です。住民票を用意するのは会社設立者となります。会社設立者には会社の規定集・法律集にあたる「定款」と呼ぶ書類を作成するという作業も発生します。また、その定款は発起人(会社設立者)に関する情報も必須記載項目となります。

会社とは、先に少し触れたように疑似人格(法人)という扱いです。会社の設立とは、(疑似)人格を社会に生み出すということと同義です。定款には、その会社の名前(会社名)は何で、事業目的は何かということを社会に申請するという役割を持っています。

そして発起人には、疑似人格の誕生を最後まで面倒を見る、すなわち会社設立までの責任を負うという役割があります。会社設立に際して発起人の住民票を用意するということは、その発起人が正しく世の中に存在し、どこに住んでいるかを証明することになります。

なお住民票には、本人だけ記載しているものと、世帯(家族)全体を記載しているものの2種類があります。このうち、会社設立時に必要となるのは本人だけ記載しているものです。ただし、世帯全体を記載しているものでも問題ありません。

株式会社を設立する際に住民票が必要となる局面は2つです。1つは定款認証を行う際に公証人役場で必要となり、もう1つは会社設立登記を行う際に法務局で必要となります。なお、株式会社以外の合同会社等では、定款認証を行う必要がないため、法務局の1箇所でのみ必要となります。

さて、住民票は引っ越しをすることで記載内容に変更が生じるものでした。すなわち、古い住民票は現在の正しい情報を反映していない可能性があります。そのため、会社設立時に提出する住民票は、3か月以内に発行したものであることと定められています。

住民票の取得には運転免許証やマイナンバーカード等の本人確認用資料が必要です。また、住民票は本人以外でも取得することができますが、その際には委任状が必要です。

なお、会社設立時に必要となる会社設立者に関する添付書類には、住民票の他に印鑑証明書があります。別々に取得したのでは手間となるため、住民票と印鑑証明書はセット(で取得する)と考えておくと良いでしょう。

これらのように、会社設立手続きは考えて分かる類の手順ではないため、計画性を持たず眼の前のことだけを見ていると後戻り工程や二度手間が発生してしまいます。

会社設立に時間をかけたくない、また早く事業を始めたいという場合は、専門家に会社設立手続きの代行を依頼するという選択肢もあります。

このときの専門家とは、弁護士、司法書士、行政書士という士業と呼ばれる国家資格職の人たちです。これらの士業はその職権により、本人に代行して住民票を取得することができます。そのため専門家に依頼した場合は、会社設立者が用意するのは印鑑証明書のみとすることが可能です。

3 マイナンバーカードとは

マイナンバーカードとは

マイナンバーカードとは「マイナンバー(個人番号)」を記載したカードです。そもそもマイナンバーとは、行政の効率化と私達の利便性の向上を目して、住民票を有する全ての人に、1人に1つの固有の番号を割り当てるという政府が始めた制度です。

マイナンバーカードの裏面にはその人のマイナンバーとICチップ、表面にはその人の顔写真と氏名、住所、生年月日、性別が表示されています。裏面のICチップには、表面に記載されている氏名等の個人情報と、公的個人認証の電子証明書が記録されています。

マイナンバーカードは、それを所持することで行政手続きが簡便になる等のメリットを設けて、政府が力を入れて国民に取得を促しています。

マイナンバーは行政の効率化を目して設けられた制度ですので、税金や社会保障、災害時等の公的な手続きに用途が限定されています。

なお、マイナンバーカードに似たものに「通知カード」と呼ばれるものがあります。通知カードとは、その人のマイナンバーが何であるかをその人に通知するために、行政から本人に郵送された書類のことです。

4 マイナンバーカードを取得するメリットとは

マイナンバーカードを取得するメリット

マイナンバーカードを普及するために、政府は様々なメリットを用意しています。そのメリットの数々を見ていきましょう。

4-1 身分証明書となる

マイナンバーカードには顔写真がついているため、住民票を出す等の公的な手続きの際に身分証明書として用いることができます。もし、住民票等の取得といった、身分証明書が必要となる公的手続きを行う場合、顔写真がない身分証明書だと、2種類以上の提示や控えの提出を求められることがあります。マイナンバーカードのような顔写真付きの身分証明書の場合は、それ1つだけで間に合うことになります。

なお、コンビニエンスストアでもマイナンバーカードを用いることで次の公的書類が取得できます。

  • ・住民票の写し(本人、または同一世帯員分)
  • ・印鑑登録証明書(本人分)
  • ・所得課税証明書(最新年度分)
  • ・戸籍全部事項証明書

マイナンバーカードは民間のサービスでも身分証明書として使える場合があります。ただし、マイナンバー自体が個人を特定できる個人情報であり、通常であれば身分証明には不必要な情報のため、マイナンバーカードのコピーを提出する場合はマイナンバー部分を塗りつぶすのが良いでしょう。

4-2 青色申告におけるメリット

青色申告とは「確定申告」における申告方法の1つです。確定申告とは、事業のその年の売上や経費を集計して最終的に利益(所得)を導き出し、そして税額を計算して、税務署にその内容の申告と税金の納付を行うものです。

青色申告では、「複式簿記」という詳細かつ具体的な、すなわち時間も手間もかかる帳簿付けをしなければいけませんが、青色申告特別控除などのメリットも受けられるということになります。青色申告特別控除とは、通常55万円、最大で65万円の控除を受けることができるという特典です。

また青色申告には、青色申告特別控除以外にも、家族の給与を経費にできること(専用の届出書を出す等の要件あり)や、赤字を3年間繰り越せること、貸倒引当金を計上できること、30万円未満の固定資産を全額経費化(少額減価償却資産の特例)といったメリットがあります。

マイナンバーカードを取得することで、以上のようなメリットを持つ青色申告を、手続きや手間を簡素化した「e-Tax」というオンライン方法で行えるようになります。

e-Taxには現在、「マイナンバーカード方式」と「ID・パスワード方式」の2種類があります。マイナンバーカード方式は、マイナンバーカードをICカードリーダーライターに読み込むことで確定申告を行うというものです。

さて、このe-Taxにより申告を行うことで、前述の青色申告特別控除で最大65万円の控除を適用できるようになります。青色申告で確定申告を行うにしても、e-Taxで行わないと青色申告特別控除の控除額は55万円に留まる、ということです。

また、e-Taxでは必要書類の提出を省略することができます。e-Taxではなく紙により申告を行う場合は、源泉徴収票や社会保険料控除の証明書、生命保険料控除・地震保険料控除の証明書、医療費の証明書等を添付する必要があります。e-Taxでは、これらの添付書類を省略することができます。

4-3 マイナポイントを貰える

マイナポイントとは、マイナンバーカードを普及するために総務省が始めたポイント制度です。条件を満たすことで、最大2万円分のポイントを貰うことができます。

マイナポイントは、次の3つの条件をクリアーするごとにその条件に応じたポイントを貰うことができ、その合計額が2万円となります。

  1.  マイナンバーカードを取得して20,000円までのチャージまたは買い物をすることで、利用金額の25%のマイナポイント(上限5,000円分)を貰える。
  2.  マイナンバーカードを健康保険証として利用できるように申込むことで、7,500円分のポイントを貰える。
  3.  自身の預貯金口座を国に登録することで、7,500円分のポイントを貰える。

マイナポイントは、キャッシュレス決済サービスと連携をして獲得することができます。すなわち、そのキャッシュレス決済サービスを使用できるお店であれば、原則としてポイント相当分を現金として使用することができるということです。

キャッシュレス決済サービスは大きく分けると「QRコード決済」、「電子マネー決済」、「クレジットカード決済」、「デビット/プリペイドカード決済」の4つに分けられます。それぞれの区分でのマイナポイントの受け取り方法や有効期限、そして年会費やポイント還元率等を見ていきましょう。

まずQRコード決済からです。QRコード決済の代表的なものとして、PayPay、楽天ペイ、au PAY、d払い、ゆうちょPayがあります。いずれも年会費は無料です。マイナポイントは連携をすることで自動的に付与されます。

次の電子マネー決済には、Suica、WAON、楽天Edy、nanaco等があります。左記はいずれも年会費無料です。マイナポイントの受取方法はそれぞれ異なり、Suicaの場合JREポイントは自動付与ですが、Suicaとして利用する場合にはSuicaにチャージをする必要があります。

WAONの場合、マイナポイントの申込みをしたWAONカードにて受け取ることとなります。楽天Edyの場合は、コンビニのマルチコピー機等の専用端末やスマホアプリ等を利用して受け取ります。Nanacoでは、セブンーイレブンのレジやセブン銀行のATM等で受け取ります。

3つ目のクレジットカード決済には、楽天カード、三井住友カード、イオンカードセレクト、セゾンカード インターナショナル、JCB CARD W等があります。左記の年会費は無料です。楽天カード等には入会時に独自の入会特典ポイントがあります。

マイナポイントの受け取り方法は、イオンカードの場合はマイナポイントの申込みをしたイオンカードにて受け取ることとなり、それ以外は自動付与です。

クレジットカードの中にはマイナポイントに有効期限を設けているものがあります。楽天カードの場合は楽天ポイントの最終付与日から1年間、セゾンカードの場合はプラチナカードが4年間、ゴールドカードが3年間、それ以外のカードが2年間となります。

最後はデビット/プリペイドカード決済です。デビットカードには、イオン銀行CASH+DEBITカード、SMBCデビット Vポイント等があります。プリペイドカードにはヤマダマネーポイント、駿河屋マイカード等があります。

このデビット/プリペイドカード決済ですが、それ以外の決済方法に比べると、ポイント還元率や付帯特典等のお得度、そして汎用性が低いことは否めません。あらかじめ買うお店と商品を決めており、そのお店のプリペイドカードで購入をする場合の選択肢といえるでしょう。

また、マイナンバーカードには上記以外にも、申込むことでお薬手帳や健康保険証としての利用や、新型コロナワクチン接種証明書をスマートフォンアプリから発行するために用いることができます。今後は、運転免許証との一体化も予定されています。

5 マイナンバーカードを取得する方法

マイナンバーカードを取得する方法

マイナンバーカードを取得するには、郵送、窓口、パソコンやスマホ、証明写真機といった方法があります。それぞれ見ていきましょう。

5-1 窓口の場合

市区町村役場の窓口でマイナンバーカードを申請することもできます。窓口には原則として本人が行きますが、やむを得ない事情がある場合は代理人が申請することも可能です。本人が15歳未満の場合は、本人であっても法定代理人の同行が必要です。

窓口に持参する書類は、個人番号カード交付申請書、通知カード、顔写真、身分証明書(本人確認書類)、住民基本台帳カード(所有者のみ)です。代理人が申請をする場合は、委任状、代理人の本人確認書類、本人が来庁することが困難であることの証明書類(診断書等)等が必要です。

このときの本人確認書類は、運転免許証やパスポート等の顔写真が貼付けされた官公署発行のもの、またはそれ以外にも各種免状や証明書等の許可証または資格証明書も対象となりますが、これらを2つ以上求められます。

そして上記の手続きを行った後日、本人限定受取郵便により自宅にマイナンバーカードが郵送されてくるという流れです。窓口で申請を行う場合は、二度手間とならないよう実際に窓口に向かう前に、一度電話等で必要書類の不足がないか確認しておくと良いでしょう。

5-2 郵送の場合

郵送の場合は、個人番号カード交付申請書、顔写真の添付が必要です。個人番号カード交付申請書は通知カードに添付されていますが、市区町村役場の窓口やインターネットでも取得することができます。

なお、通知カードは再発行されませんので、もし紛失した場合はマイナンバーの記載されている住民票等で代替することになります。

顔写真は、6ヵ月以内に撮影したもので、正面を向いて無帽、無背景であることが条件です。白黒写真でも構いませんが、サイズは縦4.5㎝×横3.5㎝の規定があります。また、写真の裏には氏名と生年月日を記入することになっています。

申請後しばらくした後に自宅に「個人番号カード交付通知書」が届きます。それと通知カード、本人確認書類を用意して市町村役場の窓口に赴くことで取得することができます。

5-3 スマホ、パソコンの場合

スマホまたはパソコンで、オンライン申請を行うことも可能です。その場合は、Webサイトにアクセスし、メールアドレス、顔写真、生年月日等の申請情報を登録します。

その後の流れは前項の郵送の場合と同様、個人番号カード交付通知書の到着を待って、必要書類を持参の上で市区町村役場に赴くことになります。

5-4 証明写真機の場合

証明写真機でも、スマホやパソコンと同じ要領で申請をすることが可能です。対応する証明写真機のタッチパネルに「個人番号カード申請」という項目があるのでそれをタッチし、お金を投入します。

そして交付申請用のQRコードをバーコードで読み取り、後は証明写真機のガイドに従って進めていきます。その後の流れは郵送やスマホ・パソコンと同様です。

なお、マイナンバーカード発行対応の証明写真機は次の会社のものとなります。

  • ・北菱プリントテクノロジー
  • ・株式会社DNPフォトイメージングジャパン
  • ・日本オート・フォート株式会社
  • ・富士フィルム株式会社
  • ・三吉工業株式会社

6 本店所在地で気を付けるべきポイント

本店所在地で気を付けるべきポイント

次に、会社の本籍地となる「本店所在地」で気を付けるべきポイントを見ていきましょう。会社の本店所在地は住所という情報以上の意味をもつ場合があります。そのことを踏まえつつ、どこを本店所在地とするか、また会社の住所にはどのような選択肢があるかをご紹介します。

6-1 自宅を本店所在地とした場合

会社の本店所在地を自宅とすることには問題ありません。実際、会社設立時に自宅を仕事場(本店所在地)とするのは良くあることですが、自宅を本店所在地とすることにはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

まずメリット面ですが、自宅を本店所在地とするということには、仕事場までの通勤時間が必要ない、すなわち仕事に直ぐ取りかかることができるという利点があります。また、会社設立時に仕事場を自宅にすると決めておくことで、仕事場を探すという手間を省くことができます。

そして、新しい場所を借りるときの費用も省くことができます。一般的に、オフィスの賃貸は居住用より割高に設定されています。また、契約時には仲介手数料や保証金(敷金)が発生するため、百万円を超える初期費用となる場合があります。自宅の場合には、これらの費用が一切かかりません。

それではデメリットは何かというと、1つは個人情報の漏洩に繋がるというものです。会社とは社会的な存在であるため、会社の情報の中には社会に公表するものがあります。公表する情報の1つが本店所在地です。

本店所在地はインターネットで容易に検索することができます。すなわち、もし本店所在地を自宅とした場合には、自宅の住所が遍く公表されることになります。

また、自宅を本店所在地とすることは、費用が掛からない一方、その費用をかけるだけの資金が会社に無いという風に捉えられることにも繋がります。会社の資金力は信用力でもあります。信用力は取引先にとってだけではなく、銀行にとっても考慮するところのものとなります。

すなわち、自宅を本店所在地とすることは、取引先から信用を得にくくなることに加えて、銀行が融資を躊躇うマイナス要因にもなり得るということです。

また、自宅を仕事場にしていると、どうしても家事や雑事に手を取られがちです。かつ、自宅は最初からレイアウトが決まっているため、仕事がしやすい環境とするにはなかなか難しいものがあるでしょう。

6-2 賃貸オフィスの場合

自宅を本店所在地とすることと比較すると、賃貸オフィスにはまず、高い信用力というメリットがあります。賃貸オフィスということはそれだけの資金力が会社にあるということであり、また自宅ではなく専用のオフィスを設けるだけの事業規模の会社であることを示すことになります。

そして、賃貸オフィスの場合は家事が入り込む余地がなく、自分の望むレイアウトで仕事に臨むことができます。許認可が必要な業種であっても、それを想定して賃貸先を選定することで、スムーズに許認可が下り事業を始めることができます。

一方、デメリットは前項でも触れたように、費用がかかるということです。会社の設立手続きだけでも少なくない費用が発生しますが、その上で賃貸契約の初期費用も発生するとなると、会社設立時に余程の資金力がないと賃貸オフィスであることが経営を行き詰まらせる一因となりかねません。

また、賃貸料は毎月費用が発生する、すなわち負担の大きい固定費となるため、資金繰りに窮する一因ともなります。

賃貸時に机や棚を持ち込む場合にはその購入費用も発生します。また、契約時の引越し費用はもちろん、その後別の場所に引越す際にも引越し費用が発生します。引越し時には今借りている場所の原状回復費用が発生する場合もあります。

6-3 レンタルオフィスの場合

賃貸オフィスは基本的に場所だけの賃貸であり、机や棚等の用意や配置は自分で行うことになりますが、このレンタルオフィスでは机や椅子は予め設置されており、最初からオフィスの機能を有しています。すなわちレンタルオフィスとは、オフィス機能をまるごとレンタルするものです。

レンタルオフィスでは基本的にインターネット環境も用意されているため、賃貸と比べると諸費用をカットできます。賃貸に比べると、初期費用も毎月のレンタル料も安く済ませることができます。

これらはレンタルオフィスのメリットですが、その他のレンタルオフィスの特徴として、基本的に1人あるいは2人程度を想定した広さであるというものがあります。そのため、本格的に従業員を増やして事業を大きくしようとする場合には向いていません。

いうなればレンタルオフィスは、スモールビジネスを想定する会社に向いている形態、または賃貸オフィスまでの繋ぎとなる存在といえます。

また、レンタルオフィスの中には、その住所を本店所在地とできないところがあります。契約した後にこのことに気づいても後の祭りとなるため、レンタルオフィスを検討する際にはまず本店所在地とできるか(本店所在地としたいのか)をチェックすることが必要です。

6-4 シェアオフィスの場合

レンタルオフィスは基本的に個室ですが、シェアオフィスは個室となるための間仕切りを取り払った、そのスペース全体を複数の会社で共有する形態です。

シェアオフィスではインターネット環境や机や椅子は設置されていますが、この一角はどこの会社のものとは決まっておらず、そのときに空いている場所をそのときの仕事場とすることになります。

メリットには、レンタルオフィスよりも割安であること、そして複数の会社が集まっていることから、同業種か他業種かに関わらず知見を広めることができることがあります。

または、最初から自社の協力会社や関係会社とシェアオフィスをしながら仕事を進めることで、スピード感や意思決定を早めることができます。

デメリットは、周囲に情報が筒抜けになったり、個人情報や社内の機密情報が漏洩したりする恐れがあるということです。また、他社とのシェアオフィスは最初こそ物珍しさがありますが、時間が経つに連れて人間関係という問題点が浮き彫りになってくる可能性があります。

そして、レンタルオフィスと同様にまたはそれ以上に、本店所在地とすることを認めていないのもシェアオフィスの特徴でありデメリットです。

6-5 バーチャルオフィスの場合

バーチャルオフィスとは、実態としてのオフィスはなく、本店所在地となる住所のみを借りるというものです。オフィスとしての実態がないため、仕事は自宅等の別の場所で行うことになります。

バーチャルオフィスのメリットは、自宅を本店所在地とした場合の個人情報の漏洩を回避できるというものです。

また、本店所在地の住所は信用力を示す基準の1つとなります。ブランド力はあるものの本来賃貸をするにはとても手が出ないような場所でも、月数千円の費用で本店所在地とすることができ、取引先や顧客のイメージアップを図ることができます。

デメリットは、許認可が必要な業種には実態としての事業所が存在しないため、許認可が下りないということです。また、銀行によっては法人口座の開設ができず、融資も不可という場合もあります。

7 まとめ

会社設立時の住民票や、本店所在地で気を付けるべきポイント、マイナンバーカードの取得方法

今回の記事では、会社設立時の住民票や、本店所在地で気を付けるべきポイント、マイナンバーカードの取得方法をご紹介しました。会社設立時には各種書類の用意や本店所在地の選定等の気を付けるべきポイントがあるので、事業をスムーズに進められるよう早めの準備が大切です。