少子高齢化で人手不足が深刻になっています。人口が減るということは、人手が足りないと言う事と、市場が縮小すると言う2つの意味があります。これから企業がバックヤード業務の効率化を図りながら、経営戦略を打ち出す必要があります。
そのためにはこれまで事後報告であった帳簿を、先を見据えた経営資料として活用していくことが望まれます。効率化と経営戦略のツールとして有効なのがクラウド会計です。
今回は、何故クラウド会計ソフトが必要なのか、クラウド会計でできること、15のおすすめソフト紹介、クラウド会計を導入するメリット・デメリットを紹介しますので、是非参考にしてみてください。

目次

1 何故クラウド会計ソフトが必要なのか

人手がなく、労働力不足が深刻化しています。企業にとって労働生産性向上が喫緊の最重要課題となっており、どの現場も業務の効率化に頭を悩ませています。

1-1 時代背景と労働生産性

労働生産性とは次の書式で求められます。

労働生産性=付加価値/従業員数

付加価値とは、会社で分配する儲けです。つまり人件費と経費と利益です。労働生産性を上げるのは付加価値を上げるか、または限られた従業員で効率的に営業をする、このどちらかで会社の舵をとっていくことになります。少子高齢化で人口も減っていく中、これから大きな利益を出し続けることは簡単ではありません。企業は何とか利益を出しながら、効率を高めて生き残っていかなくてはいけません。

その効率化を進める手段としてIT投資があります。IT投資といっても大規模なものから手軽なものまで様々です。特に中小企業にとっては「安価」「シンプル」「効率的」な投資が有効です。これからの時代は投資をしたから直ぐに業績が回復するほど甘くはありません。従業員・取引先全て含めた会社の資産を最大限に活用する必要があります。いま社内で溢れている情報が「安価」「シンプル」「効率的」に活用できればいいとお考えになりませんか?

そのためのツールがクラウド会計です。クラウド会計は今経理担当者様がされている業務を可能な限り自動化しながら、素早く会社の財務内容をまとめ上げ、社内全体で情報を共有化することができます。財務だけではありません。利用するサービスにもよりますが、経費・給料など全て一括管理ができるようになります。

つまり、会社の状態が瞬時に把握できるようになります。もちろんそれが目的ではありません。「今、会社は儲かっているのか、損をしているのか」「今の利益率で毎月利益を出すのに、幾ら売上があればいいのか」「予算はどれくらい設定しておけばいいのか」「いくらの設備投資まで大丈夫なのか」など先をみた経営が可能になります。

特に中小企業は営業しながら総務もこなすなど、一人何役もしていることが実情です。できるだけ機械にまかせるところはシフトし、前向きな経営に資源を振り向けることがこれからの経営に必要になってきます。

「理屈ではわかっているが、どのようにすればいいのか」とお悩みの方も多いと思います。会社が悩んでいることはどのようなことなのでしょうか。

1-2 会社が悩んでいること

今、どの企業も人手不足で忙しくなっています。少し前は仕事そのものが無いという由々しき状況もありましたが、今は結構バタバタと忙しい毎日かと思います。忙しいということは仕事が増えてきていると言うとこです。一度総務や経理担当者の仕事をチェックしてみて下さい。

①パソコン利用

  • パソコンを使わず全て手作業
  • 伝票・請求書を別の書式に転記している。またはパソコンに打ち込んでいる
  • 銀行口座の内容や、クレジットカードの利用明細を会計ソフトに打ち込んでいる
  • 使いにくいシステムをわざわざ使っている

②紙の使用

  • 紙の伝票が積み重なっている
  • 請求書作成に時間がかかる

③振込・現金の取り扱い

  • 支払日に銀行に行ったっきり何時間も帰ってこない
  • 売上入金通帳がいくつもある
  • 出張旅費を現金で精算している

④社内体制

  • 総務係や経理担当者などのバックオフィス人員が多い
  • 社員が日常業務に追われ、本業に専念できない
  • 給与計算で残業が発生する、勤怠管理データを会計ソフトに移している
  • 紙のタイムカード
  • 店毎の採算管理ができない、試算表がすぐできない
  • リアルタイムな営業報告書が作れない 会社が儲かっているのかよくわからない
  • 税理士と紙資料のやりとりが何度もある

これらの悩みを少しでも解決できるのがクラウド会計です

1-3 クラウドとは

今までパソコンのデータはそのパソコンの中に保存されていました。クラウドはそのデータをネットワーク経由で特定の場所に保存することで、会社全員がそのデータを使えるようになります。

つまり社員全員のデータが一元化されます。これをクラウドといます。クラウドの利点として、インターネットが使える環境なら世界中どこでも24時間全員が活用するデータにアクセスでき、編集作業ができます。一旦データを保存すれば、万一自分のデータが消えてしまってももう一度クラウド上のデータにアクセスできるので安心です。またパソコン買い替えや、スマホ機種変更しても面倒なデータ移行は不要です。

1-4 クラウドの会計ソフト

専用の会計ソフトを使うことで売上・口座明細・売掛金管理・請求書作成・給与出張旅費精算常時整理されたデータを使うことができます。これがクラウド会計です。経理の方が使う特定のパソコン内のデータでなく、社員全員のスマホを含むパソコンから集められたデータを使うことがポイントです。

1-5 従来との会計ソフトとの違い

今までの会計ソフトは、市販のものを購入してパソコンにインストールするものでした。これですと、操作は特定のパソコンに限定されます。また、バージョンアップの先は費用がかかります。クラウドはWEB上の入力です。月々のランニングコストさえ払えば最新のバージョンが利用できます。

そして最大の長所と言えるのが、会社のパソコン全てから更に税理士を含む全員がアクセスが可能ということです。データ編集や受け渡し・営業活動利用などが集約できます。これまではレジのデータ、売上伝票や仕入伝票、銀行口座の入出金明細などバラバラのデータを1台のパソコンに集約する必要がありました。

2 クラウド会計でできること

データの転記・移し替えというのは毎日できればいいのですが、どうしても纏めてになりがちです。税理士に提出する間際に入力するケースも多いです。帳簿とはあちこちに散らばっている情報を集めて出来上がります

2-1 本業に専念できる

しかし経営の方にとっては多大な労力を要します。その点クラウドであれば金融機関データの自動取得や、エクセルデータ取り込みにより手作業を大幅に削減できます。予め金融機関やクレジットカードのインターネットバンキングなどと連携をすることによってクラウド会計ソフトに取引情報が取得できるのです。

1 入力業務の自動化・・・自動取得

自動取得では、日付・金額・明細などが自動で取り込まれるので経理担当者が手作業する負担や、会計事務所に資料を送る手間が無くなります。普段インターネットバンキングで総合振込を行なっている場合、ソフトの種類によっては振込データも取り込むことが可能です。銀行もメガバンクだkでなく、地方銀行・信用金庫など幅広く対応しています。

2 入力業務の自動化・・・自動仕分け

会社は日々の営業で常にお金が動いており、同じ通帳からの出金でも仕入れ代金なのか、経費なのか、給料の支払なのか区別しななければいけません。そして悩ましいのは帳簿は複式簿記でなりたっています。

複式簿記とはお金の動きを貸借という2つのことがらで整理するやり方です。先ほどの仕入れ代金の場合、口座からお金が100円支払われていると、「支払い給与100円」」「現金出金100円」と当時に2つの取引を発生させ、お金の行き先を明確にしているのです。この取引を種類別に分けることを「仕分け」といいます。

しかし経理の立場からすると、通帳の動きから一つ一つ仕分けをすることは面倒です。クラウド会計であれば、通帳に記載された明細から予測して自動に仕分けをしてくれる機能があります。最初のうちは自動提案ですが、使うにつれルール学習されることより使えば使うほど楽になっていくのです。

3 消し込み(営業関連)

請求とは支払ってもらう金額を請求書に記載して取引先に送る業務ですが、思いのほか大変です。なぜなら会社同士の取引というのは個人の買い物とは違って一回で終わるものではありません。常に続いているため、どの時点で請求額が確定するか特定することが難しいのです。

クラウドかいけいの機能の一つに入金消込というものがあります。請求書を発行するとき、もし未だ支払ってもらっていない売掛金が残っていたりすると、その分も上乗せして請求しなければなりません。取引先が少なければいいのですが、いくつもの会社と取引がある場合、売掛金明細と通帳とを付き合わせ入金済を消しこんで請求額を出す必要があります。クラウド会計はこのような消込を自動でやってくれます。

予め入金予定のある会社を登録しておけば、その会社からの振込があれば自動で入金済としてくれます。毎日入金データを自動取得し、自動で消し込みをしてくれるのです。この機能は単なる入金チェックだけではなく、債権管理としても使えます。取引先毎に入金予定、入金済の管理ができ、債権管理が可能です。ソフトによってはグラフ化できるものもあります。

4 経費管理

営業の方にとって、出張交通費の清算など面倒だと思います。また総務の方でも手元に小口現金を保管しながら都度経費精算に応じることはかなりの負担になります。クラウド会計であればスマホを使うことで営業の方は領収証を写真で撮影してWEBで送信するだけで精算できます。

また交通費も電子マネーで連携できるので、経路検索をつかって精算できます。何より便利なのは会社に戻らなくても移動中に申請できる点です。総務の方も営業の方から送られてきた申請をチェックするだけです。いちいち現金で支払う手間もなくなります。またこれも売り上げ管理と同様、経費支出状況が確認しやすくなります。費目や部門・営業担当者ごとの支出状況が一目瞭然です。

5 勤怠管理(ソフトの機能による)

クラウド会計では、普段、紙のタイムカードで行なっているような勤怠管理・集計ができるものがあります。

出勤・退社記録・・・社員の専門画面でボタンを押すだけで出勤・退社の記録が可能です。残業なども自動で集計してくれます。また休暇申請も社員がシステムで申請することができます。きんたいかんりは昔から専用のソフトが充実しており、以前から使っているソフトを引き続き使いたいケースが多いです。そのような場合でも勤怠管理ソフトと自動連携をすることにより時間集計が楽になります。

2-2 経営状況が把握できる

帳簿の効率化の話が続きますが、それでは、帳簿とは何の為にあるのでしょうか。税金を払うために帳簿をつけるのでしょうか。企業は絶えず成長していかなければならず、その為には今の会社の状況をしっかり理解した上でどんどん次の戦略を打ち出していく必要があります。中小企業は日頃から帳簿をみる機会が少ないです。自分の会社が儲かっているのか、損しているのかリアルタイムでわかる会社は稀です。

極端な話、税理士が作ってくれた決算書をザッと目を通しただけでしまいこんでいる経営者もおられます。これまでは経理に無関心であっても経営には大きな影響を及ぼさない時代であり、決算書は銀行に提出する為だけにために作っているような経営者もおられます。本業に専念していれば、帳簿の内容や、決算に興味がなくても会社は続けていけました。

ところがこれからはスピードと競争力が無いと生き残っていけません。先を見た経営判断の重要性がますます大切になっています。そのためにリアルタイムで経営状況が理解できるクラウド会計の重要性が増しているのです

3 微妙に異なるソフトの特徴を大手3社で比較する

クラウド会計ソフトはさまざまな種類があります。大手3社といわれるもの次の通りです。

  1. 弥生オンライン
  2. freee
  3. MFクラウド

しかしこれらは機能が豊富すぎるなど、会社にとってはマッチしない恐れもあります。これから15のソフトを紹介しますが、まずは大手3社の中で違いをイメージできれば他のソフトの特徴も理解しやすくなります。いくらクラウド会計が優れているとわかっても、実際に業務に携わる担当者には慣れてもらわなければなりません。誰でも最初は心配です。「機能も大事だけど、今の会計ソフトの画面イメージに近いものがいい」場合もあるかもしれません。

3-1 自動取得について

金融機関明細の自動取得ですが、大手3社の中で弥生オンラインは自動取得ができません。金融機関の情報はオプションで別のサービスが必要となります。一方、freee、MFクラウドは、メガバンク・地方銀行・信用金庫とのデータ連携が可能です。地域の中小企業など相談しやすい信用金庫との取引を愛児にしておられます。そのような比較的地元志向の金融機関でも大手クラウドと連携があるので安心です。ただ、クレジットカードなどは連携できるものとできないものがあるので、確認が必要です。

3-2 会計以外の機能

クラウド会計は、帳簿以外に請求書作成・経費支出・給与計算・勤怠管理のソフトを連携し、あらゆるデータを会計に纏まれることが大きな利点です。その中で弥生オンラインはインストールといって一旦パソコンにソフトを取り込みしてから利用するタイプであり、他ソフトと連携することに制限が発生する可能性があります。あとのfreee、MFクラウド2社については、請求書作成、経費シユつ、売上管理、電子帳簿などのオプション機能があります

3-3 画面イメージ

比較的機械が苦手な方などはソフトの画面イメージというものは非常に重要です。使いやすさについては、弥生オンラインは前のソフトと画面イメージがそれほど違いがないので、実務担当者から歓迎されるかも知れません。はじめて会計ソフトを導入するという方には、freeeは取引の度に費目を選択して入力が完了、あとが自動的に仕分けを行います。これに対しMFクラウドは画面が貸借対照表のようになっており、経理事務に慣れた方であれば使いやすいものになっています

3-4 料金

クラウド会計の導入費用は原則無料です。基本サービスとオプションを加えた月々の利用料が実際のコストになります。さらに個人と法人で利用料が異なります。

3-5 サポート

一見、あまり目立たないようですが重要なポイントです。クラウド会計に限らず、最近は電話よりもチャットのサポートが主流になっています。夜間などに作業される方はMFクラウドやfreeeのチャットサービスが適しています。弥生オンラインは電話サポートが充実しているようです。

3-6 税理士の連携

クラウド会計は便利ですが、法人の決算書をそれだけで完成させることは原則できません。また個人事業主であっても、クラウド会計で記帳することと確定申告することは別です。やはり最終税理士にお世話になることになります。使う側にとっては大幅な省力化になるクラウド会計でも、税理士にとっては数多くの顧問先の一つがクラウド会計にすることになるので、非効率になってしまう恐れがあります。事前で相談することが望ましいです。

4 15のおすすめソフト紹介

これらを踏まえて、15のおすすめソフトの特徴をみていきましょう。

4-1 クラウド会計ソフト freee(フリー)

  • freee株式会社
  • ミニマムプラン年23,760 円
    年取引登録、口座同期、請求書 / 見積書 / 納品書作成、決算書作成
    招待可能人数3人まで
  • ベーシックプラン年47,760円
    ミニマムプランの全機能、請求書の定期・合算請求、経費精算、電子帳簿保存 
    招待可能人数20人まで
  • 利用事業者数100万社突破
  • freee 認定アドバイザー、プログラム登録事務所数5,000事務所(2018年4月時点) 
    ※日本の税理士・会計士事務所の約10%
    認定アドバイザープログラムは、freeeユーザーを専門家の立場からサポートするよう一定の登録条件を満たした税理士・会計事務所が登録するプログラム。
  • 入力画面わかりやすく、POSレジと連携して帳簿付けが終えられる
  • 256bit暗号化通信という通信技術でユーザーとfreeeのシステム間の通信は暗号化されており、通信が傍受されてしまうリスクは極めて低い。グローバルスタンダード「TRUSTe」の認証を取得。
  • チャットサポート満足度94.1% (2016年8月)。使い方から日々の会計・経理業務の悩みまで、経験豊富なスタッフが迅速に回答。関連情報もあわせて紹介。より一層経理をラクに行えます。
  • 乗り換えサポート・導入サポートあり(会計期間の設定・freeeへ1期分の仕訳データインポート・各勘定科目の開始残高の設定・ほか必要な基本設定)
  • 最近、会計ソフトに蓄積されるデータの活用を強化しています。具体的には利用企業の了解を得た上で融資審査に活用することで結果回答の迅速化につなげています。また入出金自動取得の機能などでお金の流れに変化があったときなど取引先と銀行両方で情報共有するなど、効率的なリレーションシップの向上を検討しています。

4-2 MFクラウド会計

  • 株式会社 マネーフォワード
  • 年額費用19,800円無料体験版有(45日間)
  • ユーザー数50万以上、約2、000の会計事務所が利用しており、データ連携できる金融機関は4000社弱と連携の強さが強み。
  • 会計以外に、経費精算・入金消し込み・請求書発行。給与計算・社会保険事務・マイナンバーを源泉徴収票に自動連携するなどほぼ全てのバックオフィス業務をクラウドで完結できることができます。
  • 「弥生会計」や「freee」など、他社会計ソフトからのデータが簡単にインポートできます。
  • 人工知能・機械学習(AI)がビッグデータを元に勘定科目を提案。MFクラウドは使うほど賢くなって、自動入力・自動仕訳がどんどん楽になります。
  • WindowsとMac両対応、さらにiPhone、iPadやAndroidなどのスマートフォン・タブレットも場面に応じて活用できるマルチデバイス対応です。
  • 完全無料で自動アップデートできます。
  • 法令改正や消費税の増税への対応や日々のサービス改善にも自動アップデート。全て無料で最新機能に更新します。
  • 会計、確定申告、請求書、経費、給与、マイナンバー等の各サービスがありますが、ニーズやビジネスの成長に合わせて、単体でもセットでもご利用いただけます。

4-3 弥生会計オンライン

  • 弥生株式会社
  • 年額費用セルフプラン26,000円~無料体験版有(最大2か月)
  • 2016年3月のMM総研調べで利用シェア53.1%を誇る、一番使われているクラウド会計ソフトです。
  • 簿記/会計の知識がなくても使える機能と画面設計、初心者でもかんたんに使えます
  • 見やすいグラフレポートで経営状況が把握可。
  • MacでもWindows対応
  • あらゆる業種に対応
  • 豊富な税理士・会計事務所ネットワークあり。スモールビジネスを応援している全国8,700の税理士・会計事務所とパートナーシップ(弥生PAP)を締結。初心者でも安心。
  • サービスは「法人向け」です。個人事業主には未対応。
  • 「Microsoft Azure™」を採用し、高いスケーラビリティ、万全なセキュリティ

4-4 やよいの白色申告オンライン、やよいの青色申告オンライン

  • 弥生会計には個人事業主向けの「やよいの白色申告オンライン」「やよいの青色申告オンライン」があります。

① やよいの白色申告 オンライン

初心者でもかんたんに使える「クラウド白色申告ソフト」。無料。
初めて申告をする・申告を済ませたい・簿記のことはよく分からない方向け
税務第一表・第二表に対応。
第三表・第四表はデスクトップアプリの「やよいの青色申告」「弥生会計」で対応
※農業所得未対応

②やよいの青色申告 オンライン

初心者でもかんたんに使える「クラウド青色申告ソフト」。最大14か月無料
登録した取引から、青色申告に必要な帳簿やレポートが自動で集計・作成可
税務第一表・第二表に対応。
第三表・第四表はデスクトップアプリの「やよいの青色申告」「弥生会計」で対応
※農業所得未対応

4-5 勘定奉行クラウド

  • OBC(株式会社オービックビジネスコンサルタント)
  • 使用料年15,000円(別途初期費用50,000円)
  • ニーズにあわせて、最適なシステムを選択可
  • 導入後いつでもグレードアップ可。導入後も安心。
  • OBCの「リモートサポート」万全のサポート体制。業務に精通した専任スタッフが、ユーザーのお問い合わせに迅速に対応できる体制を整備。遠隔で同じ画面を操作しながら電話やWEBなどではなかなか伝わりづらい集計条件、見ている数値などを画面でやりとりできるので、問題を早期に解決可。
  • 専門家ライセンス機能により顧問税理士との情報共有が容易。企業と税理士との間の「会計データの共有」によって、「最適なコミュニケーション」を実現。
  • 既に「勘定奉行」を導入している場合でも、専用ツールで勘定奉行からデータをスムーズに移行可。データ移行前の確認資料やツールあり。

4-6 クラウド型ERPソリューション「EXPLANNER(エクスプランナー) for SaaS

  • NEC
  • 月々14万円~業界最高クラスのサービスを利用可能
  • 会計・人事・給与・ワークフロー・生産管理・販売管理といった企業の基幹業務をサポートするクラウド型ERPソリューション。
  • 中堅・中小企業で安心の実績あり。30,000本以上の導入実績と日本の商習慣や各業界ごとの事情を反映し共に育った40年の歴史で培われたノウハウ保有。
  • NECのデータセンタでは、長年のアウトソーシング提供実績に基づき、高いセキュリティ性を実現。データセンタファシリティやデータセンタ内のサーバやソフトウェアのセキュリティ性を確保しているのはもちろん、VPN、専用線の活用などによりネットワークのセキュリティ性を高めています。また、クラウド環境にアクセスするためのPCやモバイル端末についても、さまざまなセキュリティ対策を実現可能です。

4-7 FUJITSU Enterprise Application GLOVIA smart

  • FUJITSU
  • 月額費用 要問合せ
  • 単なる会計業務システムではなく、真の情報活用により、変化に強いスピード経営を支援する会計システム。
  • 多くの企業が求めるIFRS対応へのご要望パターンを分析。早期適用への対応だけでなく将来的な切替にも対応できる融通の利いた機能性を追求。
  • グループの会計情報をひとつのシステムで管理する機能。さらにはグループ経営情報をリアルタイムで把握でき、グループ全体の経営強化にもつながります。

4-8 ASP発展会計

  • 税理士法人日本会計グループ
  • 基本システム利用料(保守料込み)年間72,000円(システム・帳票・各種機能は使い放題)
  • 優れたソフトウェアとして、経済産業省の所管である独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「ソフトウェア・プロダクト・オブ・ザ・イヤー2006」(SPOTY2006)を受賞。経営課題の解決や最新経営情報を収集するための”経営改善情報”が利用可。
  • 「会計ナビ」は、経理業務をサポートする「ASP発展会計」のオリジナル機能。経理知識のない方にも、経理業務の内容や流れがスムーズに理解できるようイラストなどでわかりやすく解説。経理担当者の業務レベル向上に活用可。

4-9 クラウド発展会計

  • 日本ビスアップ株式会社
  • 料金 別途問い合わせ
  • 企業経営に精通した会計事務所と共同開発した会計システム。決算・税務申告書類の作成はもちろんのこと、そのノウハウにもとづき企業の経営管理に必要な機能を多数装備し、企業経営に特化。
  • AI経営診断システム「AI 経営診断」は、クラウド上で48 項目のアンケート形式の設問に回答するだけで、瞬時に自社の戦略・組織上の課題を点数化します
  • 経営診断改善ナビは決算診断後の課題解決資料としてだけでなく、経営者・経営幹部・経理担当者の経営力向上のための資料としても活用できます。

4-10 かんたんネット会計

  • 株式会社カケン(科学技術研究所)
  • 36,000円(年間)
  • 電話やメールだけでなく、skypeで指導が受けられる。
  • 中小企業の立場に立ち、簡単に収入支出が記入できる。(経理の知識は不要)
  • 大企業や専門家指向ではない・SOHO・中小企業の立場を重視

4-11 ネットde記帳

  • 商工会推奨の経理ソフト
  • 料金は別途問い合わせ
  • 商工会などにいて操作方法などのサポートを行っていることに加え、身近な商工会などによる記帳・経理などのサポートあり。操作研修会を随時実施。
  • 日々の操作方法に関わる問い合わせは、システムID発行元の商工会、商工会議所に相談可
  • ガイドブック(定価:3,000円〔税別〕)あり。

4-12 フリーウェイ経理Pro

  • 株式会社フリーウェイジャパン
  • 料金 別途問い合わせ
  • 通常のクラウド会計はインターネット上(クラウドサーバ)にあるものを利用することから繁忙期には処理速度が遅くなりがちです。
  • フリーウェイ経理Proは、プログラムは事務所内のコンピュータに、会計データはコンピュータとインターネット上に保管が可能なため、繁忙期でも高速処理できます。
  • クラウドを使ったデータ共有の利便性と、これまでの会計システムの安心感を兼ね備えた、ハイブリッド型クラウド会計です。
    ※データ共有の必要がないデータは、事務所内のみに保管できます。
  • また通常はインターネット環境が必要ですが、フリーウェイ経理Proは、ソフトウエアと会計データを事務所内のコンピュータに保存できるため、もしインターネット回線が遮断されても、処理継続できます。
    ※再びインターネットに接続できた際、それまで入力していたーデータをインターネット上にアップロードできます。
    ※対応の会計ソフト:JDL会計 / 弥生会計 / 財務応援 / 勘定奉行 / PCA会計 / 会計大将 / 発展会計

4-13 RUCARO

  • RUCARO株式会社
  • オープンソースのため無料
  • サーバーインストール型会計ソフトのオープンソースプロジェクト
  • 国内の中小企業、個人事業向け
  • 重要機密の在処を明かさず会計業務を行える
  • 「日本一安全なプライベートクラウド会計ソフトを作る」コンセプトのもとで開発が進められているサーバインストール型会計ソフトのオープンソースプロジェクトです。
  • ユーザーがサーバーを用意し、そこにソフトをインストールする形でユーザー側でレンタルサーバーを契約したり、自前のサーバーを用意する必要はあるのですが、『ログインURL』が第三者に知られないというメリットがあります。

4-14 円簿会計

  • 株式会社円簿インターネットサービス
  • 永久無料(期間限定なし)
  • 弥生会計から会計データを出力し、それを円簿会計で読み込むだけ。今までのデータがそのまま使えます。最初から入力しなおすという面倒な作業は必要ありません。帳票入力の画面は、弥生会計に慣れた人でも違和感なく使えます。
  • また最新版の弥生会計に戻すこともできるので、実験的に導入するということも可能。
  • ログインのためのIDをあらためて作る必要はなく、手持ちのYahoo!IDでログインできます。
  • 帳簿の自動作成に必要な銀行IDや大切な個人情報は登録する必要がないので、円簿会計から個人情報を盗まれるということはありません

4-15 ちまたの会計

  • ちまたの会計(団体)
  • 初の非営利組織向け会計ソフト。非営利団体の使用を想定した基本機能
  • 新規登録から会計開始まで5分程度で完了
  • サークル,自治会,PTA,ボランティア,スポーツクラブ
  • 手持ちの現金と帳簿の現金を合わせるのに苦労している人
  • 手書きやEXCELで会計書類(現金出納帳・決算報告書・予算書)をつくっている人
  • 前任者から引継ぎをしたEXCELが、複雑・煩雑で困っている人
  • ほとんど設定がいらない会計ソフトを希望する人
  • 複雑なものを避け、シンプルな解決策を好む人

5 クラウド会計を導入するメリット・デメリット

クラウド会計を導入する利点は次の通りです。

5-1 メリット

①自動計算が利用できる

パソコンならではの長所です。伝票が膨大になると、どうしても計算ミスが発生します。またエクセルの書式など計算式を間違えるケースもあります。クラウド会計を含む会計ソフトは初めから入力フォームが出来上がっているので間違いが格段に少なくなります。またクラウドであれば複数の人間が同時にチェックできる利点もあります。

②低コスト

クライド会計は基本的に「月額いくら」の利用料がかかります。あとはネットワークにつながるデバイスさえあれば利用できます。過去は高価なソフトをインストールしていた事に比べれば割安といえるでしょう。

③データ集約が楽

経理の仕事は、数多くの伝票や入出金を簿記の仕分けで記帳していくことに時間がとられます。紙にかかれた数字をパソコンに打ち込んだり、システムが異なるばかりにデータからデータに移し替えしていることもあります。前述の自動取得機能を使えば、初めからデータが連携されるので、入力業務が大幅に省力化します。

④キャッシュレスが進む

キャッシュレスの流れに反する
最近では観光地で見かける人力車サービスもカード読み取り機が装備されています。アジア諸国ではお賽銭ですらキャッシュレスです。世界標準にあわせるなら、現金に固執する理由は徐々にすくなくなっています。

⑤パソコンを選ばない

ソフトであればパソコンを買い替えした際、再インストールの必要がありました。クラウド会計はどのパソコンでもアクセスできるので、会社のパソコンを持ち運びしなくても自宅や出張先のパソコンで利用できます。最近頻繁となっているOSのバージョンアップにも対応してくれます。

⑥みんなで使える

従来の会計ソフトはあらゆるデータを特定のパソコンに集約して帳簿を作成する必要がありました。そしてその集約したデータを税理士に提出していました。クラウドであれば、自動取得・仕分したデータと経費データを社員全員で共有化できます。税理士さんとも連携することができれば、やりとりが格段にやり易くなるでしょう。

一つご紹介したい事例があります。ご兄弟お二人が経営され、ご高齢のお二人のお母様が経理をしている会社があります。ご兄弟は営業に奔走され、経営はお母様に全て委ねられています。お母様も徐々にお体が不自由になり、以前ほど頻繁に銀行に行くことができなくなりました。そのような状況でクラウド会計を導入されたのです。

それ以降、銀行にいかなくても振込されたお金が毎日データで取り込まれ、自動で売掛金消しこみができるようになりました。何より良かったのは、クラウド会計を税理士からもアクセスできるようにしたことです。これまでは出来上がった帳簿を遠方の税理士事務所までわざわざ持参していました。どうしても行けない場合郵送しなければなりませんでした。

クライド会計なら税理士側からもデータを取得できるのでこれまでのやりとりが全く不要になったのです。クラウド会計というと、若い従業員ばかりの比較的人数の揃った企業が導入するものというイメージがあるかもしれませんが、このように小規模・高齢のお方でも十分意義があるものなのです。

⑦業務上欲しい情報が手に入る

いままでの会計ソフトは各部署から集まってきた数字を経理担当者が入力をすることで帳簿が出来上がっていました。特に売掛金や買掛金などは請求締めか支払い日まで2ヶ月、それから入金確認してからの作業ですから、どうしても作成に時間がかります。

会社が儲かっているのか損をしているのか、数ヶ月たたないとわからないケースが殆どです。先を見越した経営計画を立てるには、足元の収支状況を理解しなければなりません。クラウド会計であれば明細の自動取得でリアルタイムな収支状況がわかります。また店舗別の採算管理も容易ですので、不調の場合、すぐに原因究明と対策をうつことが可能です

5-1 デメリット

①セキュリティ

ネットワークをつかって多数のPCから編集できることはクライド会計の強みでした。裏を返せばその分改竄などのリスクが高いといえます。導入にあたっては利用者毎の権限付与などを明確にしておく必要があります

②停電・災害時

クラウドに限ったことでは無いのですが、ネットワークを使う以上、停電や災害などは最大の弱点です。国が推進しているキャッシュレスなども最近の天災では全く使えなくなるなどの指摘が出ています。

③ランニングコスト

従来の高価な会計ソフトを購入せずとも月々の料金だけで利用できるのがクラウド会計です。しかし元から低価格の会計ソフトを利用していた場合、却って割高になるケースがあります。多くのクラウド会計はオプションにより利用料が細かく設定されているので、自社に一番あったプランを選択しましょう。

④ 現金支払いが多い人には向かない

クラウド会計のメリットに銀行口座やクレジットカード明細の自動取得があります。社会はキャッシュレスの波が押し寄せており、その流れで今後ますますクラウド会計の存在感が増すでしょう。

一方、現金の場合はお金の流れがデータではありませんので、せっかくクラウド会計ソフトを導入してもデータ入力が手作業となってしまい、クラウド会計の長所が十分発揮できない可能性があります。
現金はどうしてもデータにすることはできませんので、将来的に検討ができるのではれば電子決済を先に進めた方がよろしいでしょう。

⑤ 税理士が反対する可能性がある

税理士のサービスに記帳代行というものがあります。クラウド会計はそれにとって代わるものであり、税理士によってはハレーションを引き起こす場合があります。
また税理士とデータ連携を取れることがクラウド会計の利点ですが、あくまでも税理士の理解があってこそです。

経理はそれが目的でなく、会社を良い方向にもっていく為の経営判断のツールです。経営判断は社長1人でなく、利害関係者と調整が必要になる場合もあります。導入にあたっては税理士の先生と相談するのがいいでしょう。

6 記帳代行サービスとは何か?

「たまった領収書のたばを会計ソフトに入力していくのがとてもめんどう」「この作業をしている時間があるなら、得意先を1件でもまわりたい……」
このようにお悩みの企業経営者の方や経営幹部の方におすすめなのが、税理士の事務所や会計専門の代行業者が提供している「記帳代行サービス」です。

記帳代行サービスとは、ごく簡単にいうと専門業者にお金を払って経理の記帳を依頼することをいいます(つまり、経理作業の外注化=アウトソーシングです)

ある程度の規模の会計事務所や税理士法人といった業者では、この種のサービスを月額数千円~数万円の料金で受け付けているほか、記帳代行だけを専門に扱っている事業者も最近では多くなっています。

記帳代行サービスを利用すれば、経理スタッフを雇用するのと比較すると、格安で経理作業を処理することが可能になりますから、利用を検討してみるメリットは大きいといえるでしょう。

 

6-1 記帳代行サービスって実際にはどんなもの?

記帳代行サービスでは、あなたが取引先とやりとりして発生した請求書や領収書、会社の経費で購入したもののレシートなどを郵送し、会計ソフトへの入力をしてもらうという形で経理処理を代行してもらうことができます。

1か月分の入力作業が完了したら、その月までの会計データを試算表として帳票で報告してくれるのが一般的です。

会計ソフトへの入力方法は基本的にはすべての会社で共通ですから、資料さえ送付すれば会計ソフトへの入力はすべて代行してもらうことができますよ。

 

6-2 会社内部で特殊な経理処理をしている部分がある場合

自社で経理処理をしているという方の場合、「うちの経理はちょっと特殊なのでちゃんと処理をしてくれるのかどうか不安」という方もいらっしゃるでしょう。

記帳代行サービスを実際に申し込んだ場合、最初の段階でどのような会計処理を毎月行っていくか?について記帳代行業者の担当者と入念に打ち合わせを行うことになります。

この段階で自社の特殊な事情や、これまでに行ってきた経理処理の方法についてかなりつっこんだところまで質問されると思いますから、現状をありのままに伝えるのが良いです。

具体的な取引内容(勘定科目をどれにするかなど)について、事前に打ち合わせをしておけばある程度柔軟に対応してもらえますから、「この取引についてはこの勘定科目で処理してほしい」といったように依頼しておくと良いでしょう。

 

6-3 記帳代行を依頼したら、帳票はいつごろ届く?

毎月融資を受けている銀行に最新の試算表を提出する必要があるという方もいらっしゃるでしょう。

帳票がいつのタイミングででき上るか?は金融機関との取引がある方にとってはとても重要なことですよね。

結論から言うと、帳票を送った月の月末~翌月の前半ごろまでには帳票があなたのもとに届くというケースが多いです。

例えば、1月分の請求書や領収書は2月の前半ごろまでには出そろうでしょうから、そこから記帳代行業者に資料を送付して、2月中~3月の月初あたりには1月分の帳票がとどくといった具合です。

6-4 記帳代行サービスの料金相場

気になるのは料金ですが、記帳代行サービスの料金は「入力が必要になる会計仕訳の本数」によって計算するのが一般的です。

料金は1本の仕訳当たり50円~100円程度になるのが相場ですので、毎月100本程度の仕訳が発生する会社であれば5000円~1万円ほどが料金相場となるでしょう。

毎月発生する仕訳の本数がどのぐらいか?は業種や業態によってさまざまですが、売上数億円・従業員数人規模の中小企業者の方であれば、200本~300本程度が一般的かと思います。

すでにご自分で経理作業をされている経営者の方や、会社の内部スタッフに経理作業を任せているという方であれば、毎月どのぐらいの数の会計仕訳が発生しているのかは会計ソフトを見れば簡単に確認することができます。

その本数に1本あたりの相場金額(50円~100円)をかけてみるとおおよその料金相場を知ることができますから、検討してみてください。

 

6-5 税理士との顧問契約か、記帳代行業者か

記帳代行サービスを利用する場合、依頼する業者の選択肢としては税理士の事務所(会計事務所や税理士法人)または記帳代行専門業者のどちらかということになります。

この両者の最大の違いは「税金の計算まで一括して依頼できるか」です。

現状、所得税の確定申告や法人税の申告といった「税金の計算」は、資格を持った税理士でないと事業として受注することはできないルールになっています(税理士法という法律で決まっています)

そのため、普段の経理入力作業と税金の申告を一括して同じ業者に依頼したいという方は、会計事務所や税理士法人と顧問契約を行うことを選択しましょう。

6-6 記帳代行サービスでは税金の計算まではやってくれない(提携している税理士に依頼)

一方で、記帳代行サービスでは税金の計算までは依頼することができません。

そのため、普段の経理入力については記帳代行サービスを利用しつつ、税金の計算については税理士に依頼するといった形になるでしょう(なお、記帳代行業者から、提携している税理士などを紹介してもらえることが多いです)。

普段の経理入力を依頼している記帳代行サービスと、税金の申告を依頼する税理士とで依頼先が別々になると手間が増えてしまう部分は増えるかもしれません。

その分、記帳代行サービス会計事務所や税理士法人と比べると料金は格安になっていることが多いので、コスト重視で選びたい方は「記帳代行サービス+税金計算は年に1回税理士に依頼」という形をとると良いでしょう。

なお、年に1回税金の申告だけを税理士に依頼した場合の料金相場は、こちらも事業規模によりますが5万円~10万円程度が相場となります。

7 記帳代行を依頼するメリット

ここからは、記帳代行サービスを利用するメリットやデメリットについて具体的にみていきましょう。

会社の経理処理の仕方というのは長期的な視点で見て会社にとって重要な経営判断となる可能性が高いです。

記帳代行を導入することの良い点や悪い点について、しっかりと理解したうえで導入を検討してみてください。

まず、記帳代行サービスを利用することには、次のようなメリットがあります。

7-1 経営者の負担軽減になる

経営者にとって会計についての仕事はとても重要なものではありますが、直接的に売上を上げることに直結する仕事ではありません。

経営者の方の中には、「経理が大切なのはわかるけれど、できれば他の人に任せて、自分は1件でも多く得意先をまわりたい…」と感じている人も少なくないでしょう。

会社内部でスタッフを雇用するという方法もありますが、従業員を増やすことは毎月の固定的な出費が増えることになりますし、一定期間は教育も必要です。

そのほかにも給与計算の事務や社会保険の加入手続きなど、会社内部のスタッフを増やすことは、売上に直結しない事務処理の負担を大幅に増やすことにつながります。

そのような状況の方にとって、低コストで経理に関する作業を丸投げできる、記帳代行サービスは強い味方になってくれるでしょう。

7-2 プロが正しい経理処理をしてくれる

記帳代行サービスは、会計に関する専門家の監修のもとで運営されています。

資格を持った税理士が運営する会計事務所に依頼する場合をはじめとして、記帳代行専門業者についても経理の専門家が記帳代行の作業をチェックしています。

経理処理を正しく行っておくことは税務調査や金融機関の融資審査への対策を考える上でも重要なポイントといえます。

 

7-3 経理スタッフを雇用するのに比べて大幅にコスト削減が可能

上でも少し見ましたが、経理を専門とするスタッフを雇用することは会社の経営コストを高めることになります。

人件費は売上の大小にかかわらず必ず毎月支払う必要のある出費であるだけでなく、経理スタッフは営業担当者のように売上のアップには貢献してくれることは通常期待できないからです。

この点、記帳代行サービスを活用すれば、少なくとも短期的な視点では経理スタッフを雇用したのと同様の効果を得ることが可能になります。

 

7-4 外部業者が客観的な視点で処理するので経理の信頼性が高くなる

特に、まだ開業間もない事業者の場合、社長のポケットマネーと会社の資金管理が一体となっている場合も少なくないでしょう。

資金繰りを回していくためにやむを得ずにそうしているという経営者の方もいらっしゃると思いますが、税務調査や金融機関の融資担当者のチェックではこうした点は厳しく追及されてしまいます。

この点、記帳代行サービスを使えば、社長の個人資産と会社の資金とを厳格に分けることにつながりますから、経理の信頼性を高める効果も期待できるでしょう。

8 記帳代行を依頼するデメリット

記帳代行を利用することにはデメリットも少なからずあります。

記帳代行の導入を検討する際には下記のようなことを理解しておくと良いでしょう。

 

8-1 リアルタイムで財務データを参照できない

記帳代行は外部のサービスになりますから、自社の内部で経理処理をした場合に比べると財務データや帳票が上がってくるのが遅くなるという面は避けられません。

上でも見たように、記帳代行によって財務データを参照する場合、多くは1か月程度の遅れが生じることになります。

金融機関の融資を受けるような場合には、最新の試算表の提出を求められるのが一般的ですから、そうした局面では記帳代行を利用していることが不利に働く可能性があります。

もっとも、「そもそも自社(経営者自身や奥さんが経理担当者ということも少なくないでしょう)で経理処理をしても、1か月程度のラグが生じている状態」という方であれば、記帳代行を利用するのが適していることも考えられますので、この点はその企業の状況をみながら判断するべき問題かもしれません。

 

8-2 長期的に企業を組織化していくなら経理財務スタッフは必須

多くの企業がそうであるように、スタートアップ期から安定成長の段階に進むにしたがって、企業では経理や財務に関するスタッフが必須になってきます(現に、ある程度の規模の会社で財務部や経理部といった部署が存在しない会社というのは考えにくいでしょう)。

まず、問題となるのが資金調達の問題です。

あなたの会社に対して投資することを考えている外部者からすると、企業の内部に経理や財務の専門スタッフが1人もいないという状況は「本当にこの会社、大丈夫かな…?」と思わせてしまいます。

また、企業が安定的に経営していくためには、財務諸表や最新の試算表、販売管理や製造原価といった経営指標の活用方法を熟知したスタッフが必須になります。

記帳代行サービスを使った場合、こうした内部スタッフ育成への投資がどうしてもおざなりになってしまいがちです。

事業がある程度の規模になってきたら、どこから記帳代行サービスは「卒業」すべき段階がくるものと考えておくべきでしょう。

 

8-3 良くも悪くも「柔軟な処理」ができない

会社を経営していくうえでは、すべてオープンにするのがのぞましくないような事態に見舞われることもあるでしょう。

例えば、経営者個人の生活の事情で会社のお金に手をつけざるを得ないということもあるでしょうし、ときには会社の経費とするのがややグレーゾーンとなるような出費というのも発生します。

会社の内部にくわしい経理スタッフや経営者自身が経理をしている場合には、こうしたときに柔軟な処理が可能になるでしょう。

一方で、記帳代行サービスは外部の専門家ということになりますから、グレーな処理をすることはサービスの質そのものを低下させることになるため認められないのが一般的です。

良くも悪くも柔軟な処理が必要なケースが多い場合には、記帳代行サービスの利用はよく検討してみる必要があるでしょう。

経営者自身が経理作業をしているというケースや、経理スタッフに対して負担している人件費コストの削減を検討している方にとって、記帳代行サービスの利用には大きなメリットがあるといえるでしょう。

本文で解説したデメリットについてもよく考慮していただいたうえで、利用を検討してみてください。

9 まとめ

これまで帳簿というと、「全て帳面を集計してから月1回集計した数字の合計」という意味合いが強いものでした。毎月の営業活動の結果を、かなり時間がたってから確認するといった具合です。下手をすると、税金を払うことと、銀行から言われている為にしか帳簿の意味はないと思っている経営者もおられるくらいです。これでは黒字・赤字のチェックはできても、どのように会社を持っていくか先を読んだ戦略までは難しいです。

実際、数字を今後の経営に生かすことになかなか追いついていない会社がほとんどです。クラウド会計は確かに効率化に有効ではあります。

しかし真の目的は効率化ではありません。バックオフィス業務を自動化することにより、日常業務に追われ本業に専念できない状況から脱却して、常に数字と経営状況を把握し、先を見据えた戦略を立てる点にあります。売上が上がっていると思っても、実際は全く利益が残っていないことがあります。

そのような時、利益を出すために必要な売上がわかると会社としての対策が打てます。やや会社が大きくなるとセクションごとに経費支出が発生し、重複した支出が目立つようになります。いったい部門別の採算はどのようになっているのか、特定の部署に経費が偏っていないかチェックが必要です。

「一体いくらまでの設備投資なら会社として大丈夫なのか」。償却負担を検討するには利益シミュレーションが不可欠です。そのために足元の財務内容がわからなければ戦略すら建てられないのです。今までは人も揃っていました。

しかしこれからは経営者自らが瞬時に判断しなければいけません。そのために効率化を進め、数字に強い会社に生まれかわり、資源を利益の生む方向に振り向けて生産性向上を目指すことが今の企業に求められていることなのです。