会社設立時や従業員新規雇用時などに生じる社会保険手続きの方法をご存知でしょうか。社会保険には様々な手続きがあり、効率良く行わないと後戻り作業が発生したり、書類の贈り直しが生じたりして手間と時間が掛かるものです。

そこでこの記事では、会社設立後の社会保険加入のルールと社会保険代行サービスを紹介します。社会保険代行サービスでは何をしてくれるのか、またそのメリットやデメリット、そしておすすめのサービス代行業者を紹介するので参考にしてみてください。

1 社会保険の概要

社会保険の概要

会社設立後の重要な手続きの一つに社会保険への加入がありますが、社会保険に加入しなければいけないその条件や、加入ルールがあります。社会保険は条件を満たす場合は加入必須となり、従業員の生活や老後を保障するものとなるので、ここで社会保険そのものや加入ルールを確認して、社会保険への理解を深めておきましょう。

日本では原則として全国民が何らかの公的な保険に加入することになっています。社会保険とは、会社に属する人たちが加入をする公的な保険です。会社に属する人たちとは、社長や役員、従業員、そしてアルバイトやパートの人たちを指します。しかし、以上の全員が社会保険に加入する訳ではありません。社会保険の加入には条件があり、その条件とは一定以上の勤務形態であることとなります。

フルタイムで働く従業員は社会保険の加入対象となりますが、アルバイト・パートで週に2~3日、日に4~5時間程度の勤務の場合は社会保険に加入する必要はありません。

社会保険の保障内容は、病気や怪我、高齢時の年金、失業手当など多岐に渡っています。これらは社会保険という枠組みの中で、お互いに社会保険料を供出することで成り立っています。

社会保険

そして、その保障内容によって社会保険も数種類に分かれています。その種類とは「厚生年金保険」「健康保険」「介護保険」「労働保険」です。

社会保険

このうち厚生年金保険、健康保険、介護保険は、社長を初めとして役員や従業員、そして条件を満たす一部のアルバイト・パートが加入をするものです。会社勤めをしている人が加入する医療保険が健康保険となり、年金保険が厚生年金保険ということになります。

一方、会社勤めをしていない個人事業主(自営業)の場合の医療保険は「国民健康保険」であり、個人事業主の年金保険は「国民年金」となります。

労働保険は労働者(被雇用者)のための保険なので、従業員や一部のアルバイト・パートが加入します。雇用者である社長や役員は原則として加入しません。

以上が社会保険の概要となりますが、次にもっと細かくそれぞれの保険について、そしてその加入ルールについて見ていきましょう。

2 厚生年金保険、健康保険、介護保険

厚生年金保険、健康保険、介護保険

一般的に、単純に社会保険というときには、厚生年金保険、健康保険、介護保険の3つを指していると思って良いでしょう。これら3つをまとめて狭義の社会保険ということになります。

厚生年金保険、健康保険、介護保険の3つ

2-1 厚生年金保険とその加入ルールについて

厚生年金保険は日本年金機構が管轄をする年金保険です。会社設立後に一人でも役員報酬または給与の発生する役員や従業員がいる場合は、加入をするルールとなっています。逆もまた然りで、会社に役員報酬または給与が発生する人がいない場合、加入義務は生じません。

パートやアルバイトも従業員の4分の3以上の労働時間である場合には加入をするルールとなっています。もし、これらの加入ルールを守らずに社会保険に加入しない場合には「6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金」の罰則が設けられています。

厚生年金保険は老後の生活を保障するために年金を支給する制度です。その受給開始年齢は令和2年現在では原則65歳となっています。

基本的に、会社勤め=厚生年金保険、個人事業主=国民年金ですが、この2つは異なる制度で、異なる機関が管轄をしているということではありません。

厚生年金保険とは国民年金を土台としているものです。その土台に上乗せする部分があり2段構えとなるように構成されているものが厚生年金保険ということになります。

2段構え

納める保険料は、国民年金の方は全額自己負担となりますが、厚生年金保険の場合は本人と会社の双方が保険料を出し合います。この保険料は役員報酬または給与の額に応じて額が定まっています。

この双方の納付は、会社が保険料を半分肩代わりしているということではなく、先述のように会社がさらに加算して納めているという形となるので、厚生年金保険の保障内容は国民年金のそれよりも手厚いものとなります。

社会保険に加入することができるのは会社に属する人だけではありません。社会保険の加入者を「被保険者」と呼びますが、被保険者の親族の内にも、幾つかの要件を満たすことで社会保険に加入することができます。

その被保険者の親族のことを「被扶養者」と呼びます。社会保険に加入した場合、毎月収入額に応じた保険料を納付することになるのですが、被扶養者にはその納付負担は生じません。

被扶養者となるためには、第一に被保険者の収入を元に生活していることが条件です。その上で、被扶養者の年間収入が130万円未満(60歳以上または障害者の場合は180万円未満)、かつ被保険者と同居の場合には被保険者の収入の半分未満となることが条件となります。

被扶養者は厚生年金保険において「第3号被保険者」という、保険料を納付する義務のない扱いとなります。ただし、一定額以上の収入を得るなどして被扶養者から外れることとなった場合は、第3号被保険者の資格を無くすこととなり、元被扶養者が保険料を納付することになります。

2-2 健康保険とその加入ルールについて

健康保険とは社会保険の中で医療保険に相当するものです。全国健康保険協会(通称「協会けんぽ」)が管轄をしており、病気または怪我などにより医療費が発生する際に、健康保険によってその医療費の一部を賄うことができます。

健康保険によって賄われる医療費額は、70歳以上及び小学校入学前の児童は8割で、自己負担2割となります。それ以外は健康保険側の負担割合7割で自己負担3割です。健康保険にも被扶養者という概念があり、被扶養者手続きは厚生年金保険と健康保険が同時に行われ、被保険者と同じ保険内容となります。

加入ルールは厚生年金保険と同様です。厚生年金保険のみ加入ルールに該当して健康保険は該当しない、ということはありません。後述しますが加入手順も厚生年金保険とセットとなるので、特に厚生年金保険と切り分けて意識をする必要はありません。

また、健康保険は定期健康診断の診断費用も対象となります。その他にも、長期の入院や、出産または死亡した際にも保険金受給の対象となります。

2-3 介護保険とその加入ルールについて

介護保険とは、自身が高齢者となり介護を要する状況となった際、要介護認定を受けて介護サービスを受けた際のサービス料を負担するものです。原則として保険側の負担割合は9割となり、自己負担は1割となります。

介護保険の加入ルールは、健康保険加入時点で40歳に到達しているか否かです。40歳に到達していれば自動的に健康保険と一緒に加入することになり、到達していなければ40歳到達時点で自動的に加入になります。

介護保険料は健康保険料に上乗せをして厚生年金保険料と一緒に給与から天引きされます。そして、65歳となり老齢年金を受給し始めてからも、介護保険料はその老齢年金から差し引かれて納め続けることとなります。

2-4 厚生年金保険、健康保険、介護保険の加入手順

これら3つの社会保険に加入するためには、年金事務所宛へ加入書類の提出をすることとなります。健康保険の管轄は年金事務所ではなく協会けんぽですが、健康保険(介護保険含む)と厚生年金保険の加入用書類は別々という訳ではなく一つなので、特にこれら3つを分けて意識する必要はありません。

これら3つの社会保険は社長なり従業員なりの個人の保険となりますが、個人が社会保険に加入するにはまず会社が社会保険の適用事務所となる手続きをする必要があります。

その手続きとは、会社設立時に一人でも役員報酬または給与を支給することが決まっている場合は、その会社設立から5日以内に、所轄の年金事務所宛に下記の書類を提出することです。

その書類とは「健康保険・厚生年金保険 新規適用届」と「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」、そして被扶養者がいる場合は「健康保険被扶養者(異動)届」です。そして、「登記簿謄本(原本)」と「法人番号が分かる書類」を添付します。

これは会社設立時の処理となり、その後役員または従業員を新たに雇い入れる度に年金事務所に「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」と、被扶養者がいる場合には「健康保険被扶養者(異動)届」を提出します。

3 労働保険(労災保険、雇用保険)

労働保険(労災保険、雇用保険)

社会保険のうち、業務中の怪我や失業に瀕した際の保険が労働保険です。労働保険には「労災保険」と「雇用保険」の2種類があり、労働保険はこの2つの総称となります。

労働保険には「労災保険」と「雇用保険」の2種類

前章の狭義の社会保険は3種類1セットの扱いであり、特に意識することなく同時に加入することができましたが、労働保険は2つの種類ごとにそれぞれ加入手続きが必要となります。それでは順番に、まずは労災保険から見ていきましょう。

3-1 労災保険とその加入ルールについて

労災保険とは、従業員の業務中や通勤時の怪我などに対する保険です。その負った怪我などが通勤中と業務中のどちらであるかによって保険適用の条件や手続きが異なります。

通勤中の災害は「通勤災害」と呼ばれ、業務中の災害は「業務災害」と呼ばれます。業務災害による怪我に労災保険を適用するためには、事業主の管理の元の業務であり、かつ勤務時間中の災害であることを明らかにする必要があります。

労働保険は従業員のための保険なので、労働保険の加入ルールは従業員が一人以上在籍するということになります。なお、労災保険料は全額会社負担です。従業員本人の負担はありません。

労働保険以外の社会保険の保険料納付は毎月行いますが、労働保険は一年に一回の納付となります。納付期間は6月1日から7月10日までで(令和2年はコロナ禍の影響により8月31日まで延長)、「労働保険概算・確定保険料申告書」を作成してその年の労働保険料の概算申告と納付を行います。

3-2 雇用保険とその加入ルールについて

雇用保険は労働保険のうちの一つで、従業員が休業や退職によって長期的に職と給与を失う事態となった際の保険です。加入ルールは労災保険と同様に従業員が一人でもいることです。

また、アルバイトやパートの人も、週の労働時間が20時間以上であること、31日以上雇用される見込みであること、学生ではないこと(夜間、通信制、定時制は除く)の3つを満たすことで加入することになります。

失業時に雇用保険によって支給される手当のことを「失業給付」と呼びますが、雇用保険は失業時に限った保険ではありません。現在会社勤めをしている従業員にも、教育訓練や、原則1歳未満の子息の育児休業への給付があります。

雇用保険料は会社と従業員の双方が負担をします。一般の事業の場合(農林水産・清酒製造や建設業ではない場合)、給与の6/1000が会社負担となり、3/1000が従業員負担となります。

雇用保険の納付は、労災保険と同じ「労働保険概算・確定保険料申告書」を用いて、労災保険とまとめて一年に一回行うことになります。ただし、従業員側の雇用保険料の給与からの天引きは毎月行われます。

3-3 労働保険の加入手順

労働保険上では、会社は「一元適用事業」か「二元適用事業」のどちらかに属することになります。二元適用事業とは自治体や自治体に関係する事業または農林水産・建設の事業であり、一元適用事業とはそれ以外の事業です。

一元か二元かで労働保険の加入手順が異なりますが、ここではより一般的な一元適用事業の場合の労働保険の加入手順を取り上げます。

労災保険の管轄は労働基準監督署、雇用保険の管轄は公共職業安定所(ハローワーク)となり、それぞれの管轄へそれぞれの保険加入届けを出すことになります。労働保険の加入には順番があり、まず労災保険の加入を先に進めることになります。

労災保険の加入には「労働関係設立届」と「労働保険概算保険料申告書」、そして「履歴事項全部証明書(写)」が必要です。これらを保険関係成立日から10日以内に届出をして、労働保険概算保険料申告書によって50日以内に労働保険料を収めます。

そして、労災保険の加入手続きを済ませた後に、雇用保険の加入手続きを進めます。提出書類はまず労災保険加入後に手元にあることになる「労働関係設立届(控)」と「労働保険概算保険料申告書(控)」です。

そして「雇用保険適用事業所設置届」、「雇用保険被保険者資格取得届」、「履歴事項全部証明書(原本)」、「労働者名簿」を用意します。

以上を従業員雇入日から10日以内にハローワークに届出ます。労災保険の方は、会社が加入するものなので一度手続きをすれば本所移転などを除いて以後特に行う処理はありませんが、雇用保険は、新規従業員を雇用する度に「雇用保険被保険者資格取得届」をハローワークに提出することになります。

4 社会保険代行サービスとは

社会保険代行サービスとは

会社設立時には営業活動に掛り切りとなり、社会保険などの事務手続きをする時間がなかなか取れないものです。特に、会社設立時の社会保険手続きは煩雑です。言葉では社会保険と一つに括っていますが、実際には社会保険とは数種類の保険をまとめたものであるため、複数の書類や提出先があります。

社会保険を構成するうちの厚生年金保険・健康保険・介護保険は年金事務所が、労災保険は労働基準監督署が、雇用保険は公共職業安定所(ハローワーク)が管轄をしており、会社設立時にはこれら3箇所にそれぞれの保険の加入(適用)書類を提出しなければなりません。

さらに、それぞれの保険加入書類に、住所や設立年月日などの同じ情報を繰り返し記入して書類を作成するという作業が発生します。この作業は会社設立直後の繁忙期には大変苦痛を感じるもので、書類には提出期限があるものの、ついつい後回しにしたり忘れてしまったりすることもあります。

社会保険の事務手続きを代行する方法の1つが、社会保険代行サービスです。社会保険関係には、社会保険を専門に扱う「社会保険労務士」(以下、社労士)という資格があります。代行サービスでは社労士が中心となり、効率的に、かつ事業主の負担を抑えて手続きを行います。

5 社会保険代行サービスを利用するメリット

社会保険代行サービスを利用するメリット

社会保険代行サービスのメリットを見ていきます。社会保険の手続きは、前述のとおり煩雑です。記入要領は用意されていますが細かくて分かりづらく、専門家でないと書き損じる項目もあり、そして保険の種類ごとに異なる宛先に提出する必要があります。

社会保険代行サービスを利用するメリット

このような手続きに、専門性の高さと培ったノウハウによって事業主の負担を軽減することが、社会保険代行サービスを活用するメリットの1つです。

代行サービスに依頼をすることで、事業主の作業は代行サービスへ必要な情報を提供することのみに留まり、後は書類の完成を待つばかりとなります。その事務作業を削減した時間で、事業主は営業活動を行うことができます。

2つ目のメリットは、手続きの最速化・最適化です。社会保険手続きでは法改正によって、枝葉が増えるがごとく以前とは違う項目が増えたり、記載内容に変更が生じたりする可能性があります。加えて、不備や間違いがあった場合には書類の差し戻しが発生し、また先方の担当者によって通ることもあれば通らないこともあるなどアナログです。

現在では、政府や役所側としても手続きのオンライン化に取り組んでいますが、オンラインになったとして、オンラインであるが故に電子申請の手続きや費用が発生し、小規模事業者にとっては余計に手間が掛かったり費用が嵩んだりする事態となる懸念があります。

これらの疑念点や無駄な作業に対して代行サービスに依頼をすることにより、事務手続きを一挙に最速化・最適化することを期待できます。

6 社会保険代行サービスを利用するデメリット

社会保険代行サービスを利用するデメリット

社会保険代行サービスを利用するデメリットの1つは費用面です。社会保険の手続きなど経験がない作業というのは、特に心理面に置いてハードルの高さを感じます。しかし、実際に書類を作成して提出し、特に不備もなく通った場合には、思うほどには難しい作業ではなかったと感じる人も多いはずです。

社会保険代行サービスを利用するデメリット

役所からの確認連絡や書類の差し戻しなどが頻繁に起こる状況では、代行サービスに依頼した方が安く済みますが、自身を含めて1、2人の社会保険の加入でしたら、結果として代行サービスを探して依頼する手間と費用よりも自身で行った方が早く安く済んだ、という状況も有り得ます。

2つ目のデメリットは、その作業を会社外部に頼りっきりにしてしまうことです。社会保険の手続きは数をこなせば慣れてきますので、会社が大きくなる過程で社会保険手続きを含む労務関係に従事する従業員を雇うことで、新規雇用時の作業を社内で完結することができます。

7 おすすめの代行業者

おすすめの代行業者

ここからはおすすめの代行業者を見ていきます。代行業者にも様々な特徴や担当者がおり、自身との相性もあるものです。事業者を選定する際には費用面だけではなく、問い合わせ時の対応や雰囲気も合わせて検討をすると良いでしょう。

7-1 ウェブゼイム

ウェブゼイムは社会保険手続きのみならず、決算や会計業務などにも対応する事業者です。ウェブゼイムの社会保険代行サービスは、手続きが発生したそのときだけ利用をすることができます。

手続きは会社設立時の社会保険新規加入以外にも、退職時や新規雇用時などのあらゆる局面に対応しており、また年間を通して対応可能となっています。

ウェブゼイムに依頼をする流れですが、まず電話や問合せフォームからウェブゼイムに連絡を行います。その後、ウェブゼイムから社労士の紹介の案内が届き、見積もりや必要な提出書類と今後の流れの説明を受け、サービス費用を先払いすることによって代行業務開始となります。

サービス内容は手続き書類の作成方法や相談は含まず、書類の作成代行のみとなりますが、実費を負担することで社労士から役所宛に書類を直送することも可能です。

初めて利用する場合は3,000円(税別)の事務手数料が必要です。仮に、代表者一人のみの会社の場合は、健康保険・厚生年金保険への新規加入費用10,000円+一人に付き1,000円の合計11,000円(税別)の計算となります。

もし、社長一人と従業員が3人いる場合は、健康保険・厚生年金保険への新規加入費用10,000円+4,000円(4人×1,000円)の合計14,000円(税別)となり、労働保険(労災保険・雇用保険)も同様の計算式の14,000円となります。

7-2 スポット社労士くん

スポット社労士くんでは社会保険代行サービスを初めとした労務提供サービスを行なっています、前項のウェブゼイムと同様に月間の顧問契約をすることなく、必要なときだけ社会保険代行サービスを依頼することが可能です。

取り扱っている労務サービスの種類は幅広く、会社設立時の社会保険の新規加入はもちろん、従業員新規雇用時や退職時に発生する社会保険関係の手続きや、就業規則などの労務関係の整備から助成金申請作業までを取り扱っています。

また、労務サービスは会社の成長に伴って段階的にモデルケースを用意しています。スタートアップ時点の従業員2~3名の状態のサービス内容は、労働保険・社会保険の加入と、労働契約書と36協定の締結、給与計算や勤怠管理等です。

その次の従業員10~20名前後のアーリーステージと設定した段階では、就業規則の整備、助成金、採用コンサルタント、経営理念等のサービス内容となっています。この後にも、従業員30~50名前後のミドルステージ、そして次のプレIPOステージが用意されています。

費用面では、新規採用時や退職時の手続きは3,000円で、外国人の資格取得手続きは6,000円、そして社会保険の新規加入(適用)手続き費用は23,000円などの料金体系となっています。

7-3 人事オフィスひまわり

人事オフィスひまわりは、社会保険代行を初めとして、給与・賞与計算、就業規則の作成、助成金の申請・支援といった従来の労務業務から、労務相談、申請金の申請・支援、採用や人事のアドバイスやサポートまでを、イキイキとした元気一杯の会社にするという理念の元に行う社労士事務所です。

オフィスは東京の池袋にありますが、首都圏ではなく遠隔地であっても、メールや電話、スカイプなどでも対応可能です。

費用面は、従業員の人数によって区分する月額の顧問契約を基本としています。5人以下は20,000円、6~15人までは30,000円、16~20人までは40,000円、21~50人までを50,000円とし、その後も区切りはありますが250人までを180,000円としており、251人以上は別途協議となります。

顧問契約は、新規採用時の社会保険資格取得届や退職時の喪失届、そして被扶養者手続きといった社会保険代行業務から、離職票の発行、育児休業・高齢者給付金等の申請、労災保険の給付申請手続き、労働契約書の作成や指導といった、労務関係全般に対応する充実の内容となっています。

また、社会保険の手続きのみや、相談業務のみを希望の場合も要相談としていますので、気になった場合はまず相談をしてみると良いでしょう。

7-4 トラスティグループ

トラスティルグループは、弁護士、行政書士、司法書士、公認会計士、税理士、社労士、そして海事代理士によって構成される、法律と会計にまたがって総合的に会社をサポートするサービスグループです。

そのためトラスティルグループでは、社会保険代行サービスはもちろん、印鑑セットの購入を含む会社の設立そのものから許認可申請業務までを、一グループ内のワンストップで対応できることを特徴としています。

他の一般的な代行サービスの場合、社会保険代行サービス以外は別の事業者を紹介しますとなるのが通常です。トラスティグループへ依頼をした場合には、専門分野には特化しながらもトータルでバランスの良い、いいとこ取りの全てお任せのサービスを期待することができます。

健康保険・厚生年金保険と労働保険の代行費用はそれぞれ19,800円で、これは3人までの手続き費用となっており、4人以上の場合は一人に付き3,000円が加算されます。

こちらは包括サービスのうちのオプション機能としての金額となります。単独で健康保険・厚生年金保険、また労働保険の代行を依頼する場合はそれぞれ30,000円の料金体系です。

会社の設立も含めて、社会保険手続きからその後の決算業務までを含めて一任し、営業活動に専念したい場合にはトラスティグループを検討すると良いでしょう。

7-5 近隣の社労士事務所

自社近くの社労士事務所に依頼をする、という選択肢です。社会保険関係の手続きは会社設立後も発生し、また会社が大きくなるに連れてその頻度は上がってきます。

頻度の上がった社会保険手続きに対応するには、労務関係を取り扱う人事部署を設けるのが1つの解決策ですが、その部署を設けるまでの間、また相談事や担当の急な退職などの緊急事態に備えて、近隣の社労士と繋がりを持っておくことは一考の価値があります。

近隣の社労士事務所は電話帳にも載っていますし、また自社の所在地を検索ワードに含めて「社労士」とインターネットで検索すればヒットをします。知り合いから口コミで紹介して貰えればより身近に、親身に接することもできるでしょう。

近隣の社労士の場合、何か起こった際に実際に会って相談でき、自社所轄の年金事務所・ハローワークにもフットワークの軽さで直ぐに出向いてくれます

7-6 SmartHR

SmartHRは社労士の資格を持った「人」、または社労士事務所ではありません。SmartHRとは「労務関係のシステム」のことで、従業員の家族構成や扶養状況の管理や、システムに入力した情報を元にした従業員のリスト作成、別のサービスと連携することでSlackやChatWorkなどへの通知機能を持っています

またSmartHRでは、システムに各情報を入力・管理することによって雇用契約や新規雇用時の手続きをペーパーレスで完結でき、従業員情報も自動的に蓄積することができます。

そして、社会保険手続き関係も同システム上にて各種手続きの書類を作成することを可能としており、電子申請にも対応しています。

システムへの入力を従業員本人の作業とすることで、間違いが少なくなり、また従業員と事業主側双方の書類のやり取りの手間や書類そのものを省くことができ、社内業務を効率化・最適化することを期待できます。

更に、給与サービスからデーターを取り込むことで給与明細も出力可能となり、その給与データーから、年に一度の労働保険の年度更新や、年末調整時に必要な書類を作成することもできます。

料金プランには、まず従業員50人以下の場合には従業員情報の一元管理や業務のペーパーレス化・効率化機能のスモールプランがあります。

そして、最新の従業員情報を収集・蓄積して活用できるスタンダードプランと、更に分析や人事データーをより有効活用したい場合のプロフェッショナルプランも用意されています。

SmartHRは一度情報を入力することで各種手続きに転用できるという、インターネットとシステムを活用した現代的な社会保険代行サービスです。検討の価値は大いにあるでしょう。

8 まとめ

社会保険とその加入ルールについて解説してきました。社会保険は共助保険であり、何より加入義務があるので、会社設立時には社会保険の加入を必ず確認するようにしてください。社会保険代行サービスには近隣からインターネットを介した社労士事務所があり、そして専門のシステムも登場しています。自社の特徴や今後の事業計画に適した社会保険代行サービスを検討してください。