世界的にも運転マナーが良いとされる日本。また、交通整備は隅々まで引き届いているため、道路状況も極めて高い安全性が維持されています。都心部を中心とした酷い交通渋滞を除けば、快適に運転できる都市ではないでしょうか。

ドイツの自動車部品販売会社kfzteile24は10月、「世界で最も運転しやすい都市」と「運転しにくい都市」のランキングを作成し、これを公表しました。

100都市のなかで「最も運転しやすい都市」となったのはドイツ・デュッセルドルフで、次いで、2位ドバイ(UAE)、3位チューリッヒ(スイス)と続きました。日本からは東京が4位にランクインしました。

一方、不名誉でもある「最も運転しにくい都市」に選ばれたのは、インド・カルカッタとなります。次いで、99位メキシコシティ、98位ラゴス(ナイジェリア)となりました。

現代の生活には欠かせない存在となったクルマ。しかし、運転する環境の良し悪しによってドライブに出かける意欲も左右されるというものです。

kfzteile24が作成した「運転しやすい都市ランキング」を詳しく見ていきましょう。

1 最も運転しやすい都市は?

ドイツのkfzteile24社は世界100都市都市を、渋滞度合、駐車場料金、ガソリン価格、ディーゼル(軽油)価格、平均速度、空気汚染レベル、交通事故数・交通事故死亡者数、道路の質、代替公共交通機関数、ロードレイジ率など10指標をもとにランキングしたものです。スコアは1~10で数値化され、1に近づくほど悪く、10に近づくほど良いとされます。

なお、建設作業による一時的な交通渋滞・遅延などは除外されて作成されました遅延など

ホンダは今年6月、EV車開発体制の強化のため、研究所内に専門部門を立ち上げ、EV専用プラットフォームを開発に取り組むことを発表しました。2018年に中国で現地用の電気自動車を発売する予定です。

渋滞度合 都市部から空港までの平均速度
ガソリン価格 大気汚染
ディーゼル(軽油)価格 交通傷害件数
代替公共交通機関数 道路の品質
駐車場料金 ロードレイジ

1-1 ドイツ・デュッセルドルフが1位に

「最も運転しやすい都市」に選ばれたのはドイツ・デュッセルドルフです。次いで、2位ドバイ(アラブ首長国連邦-UAE)、3位チューリッヒ(スイス)、4位東京、5位バーゼル(スイス)、6位シンガポール、7位ドルトムント(ドイツ)、8位ウィーン(オーストリア)、9位ミュンヘン(ドイツ)、10位カルガリー(カナダ)となりました。

・世界「運転しやすい都市」ランキング

順位 都市 国・地域名
1 デュッセルドルフ ドイツ
2 ドバイ UAE(アラブ首長国連邦)
3 チューリッヒ スイス
4 東京 日本
5 バーセル スイス
6 シンガポール シンガポール
7 ドルトムント ドイツ
8 ウィーン スイス
9 ミュンヘン ドイツ
10 カルガリー カナダ
11 ベルン スイス
12 シュツットガルト ドイツ
13 モントリオール カナダ
14 トロント カナダ
15 ヘルシンキ フィンランド

(kfzteile24公表資料より作成)

1位となったデュッセルドルフは、「ガソリン価格」が1リッター当たり1.29ユーロと比較的高く、「大気汚染」は平均レベルですが(5.55)、「渋滞具合」20%、「代替交通機関数」8.88、「駐車場料金」1.50ユーロなどで高記録を出しました。

・デュッセルドルフの各指標

渋滞度合 20% 都市部から空港までの平均速度 34.10km
ガソリン価格 1.29EUR 大気汚染 5.55
ディーゼル(軽油)価格 1.11EUR 交通傷害件数 7.03
代替公共交通機関数 8.88 道路の品質 9.23
駐車場料金 1.50EUR ロードレイジ 8.96

(kfzteile24公表資料より作成)

1-2 4位東京、「代替公共交通機関」ではトップ

東京は総合4位にランクインし、世界的にも運転しやすい都市として評価されました。

各指標では、「代替公共交通機関数」で満点となる10.0を獲得。「渋滞度合」20%、「交通事故傷害件数」では6.94と大都市の中では健闘しました。

しかし、「駐車場料金」3.60ユーロ、「大気汚染」4.27は100都市の中でも平均を下回り、課題を残した格好となりました。

・東京の各指標

渋滞度合 26% 都市部から空港までの平均速度 49.00km
ガソリン価格 0.97EUR 大気汚染 4.27
ディーゼル(軽油)価格 0.80EUR 交通傷害件数 6.94
代替公共交通機関数 10.0 道路の品質 8.83
駐車場料金 3.60EUR ロードレイジ 8.45

(kfzteile24公表資料より作成)

2 最も運転しにくい都市は?

次に世界で「最も運転しにくい都市」に選出された都市を見ていきます。
トップ100都市のうち、最下位となったのは、インド・コルカタとなりました。次いで、99位カラチ(パキスタン)、98位ラゴス(ナイジェリア)、97位ウランバートル(モンゴル)、96位ムンバイ(インド)、95位バンガロール(インド)、 94位ホーチミン(ベトナム)、93位ボゴタ(コロンビア)、92位メキシコ市(メキシコ)、91位イスタンブール(トルコ)と続きました。

順位 都市 国・地域名
86 サンクトペテルブルク ロシア
87 ジャカルタ インドネシア
88 ブカレスト ルーマニア
89 サンパウロ ブラジル
90 リオデジャネイロ ブラジル
91 イスタンブール トルコ
92 メキシコシティ メキシコ
93 ボゴタ コロンビア
94 ホーチミン ベトナム
95 バンガロール インド
96 ムンバイ インド
97 ウランバートル モンゴル
98 ラゴス ナイジェリア
99 カラチ パキスタン
100 コルカタ インド

(kfzteile24公表資料より作成)

2-1 最下位インド・コルカタの道路事情

最下位となってしまったインド・コルカタは、駐車場料金が0.27ユーロと非常に安いものの、「代替公共交通機関」数はとても少なく(1.41)、「大気汚染」(1.27)や「道路の品質」(4.13)も低評価でした。また、「都市部から空港までの平均速度」18kmとなっており、「道路の質」や「渋滞度合」の悪さが影響している結果と見られます。

調査を行ったkfzteile24は「公共交通手段の選択肢が悪い場合や、公共交通手段が不十分な場合、市民は車を運転する以外に移動手段がないため、渋滞発生率が高まり、さらに道路の品質が急速に低下して、ロードレイジが増えるため、都市の走行の質に影響する」と述べました。

・コルカタ(インド)の各指標

渋滞度合 69% 都市部から空港までの平均速度 18.00km
ガソリン価格 0.95EUR 大気汚染 1.27
ディーゼル(軽油)価格 0.79EUR 交通傷害件数 2.40
代替公共交通機関数 1.41 道路の品質 4.13
駐車場料金 0.27EUR ロードレイジ 4.24

(kfzteile24公表資料より作成)

 

2-2 サンクトペテルブルク、“イライラ”ドライバーが最も多い?

86位にランクインしたのはロシア・サンクトペテルブルクです。市内歴史地区と関連建造物群が世界遺産にもなっている人気の観光都市ですが、指標の「ロードレイジ」では最悪となる1.00となります。

ロードレイジとは、割り込み、追い越しなどに腹を立て、煽り返すなどの報復行為に出ることを言い、「ロードレイジ」指標は各都市で実施された調査の結果に基づいて計算されたもので、過去12ヵ月間に1000人以上のドライバーが運転中に経験または目撃した事件の数を評価したものです。

ロードレイジ率最悪となったサンクトペテルブルクを観光する際は、ロードレイジに注意し、心にゆとりを持った運転を心掛けたほうがいいかもしれません。

・サンクトペテルブルクの各指標

渋滞度合 44% 都市部から空港までの平均速度 28km
ガソリン価格 0.60EUR 大気汚染 3.73
ディーゼル(軽油)価格 0.55EUR 交通傷害件数 1.79
代替公共交通機関数 6.04 道路の品質 1.77
駐車場料金 2.88EUR ロードレイジ 1.00

ランキングの結果を受けて、kfzteile24のトーマス・クロベルトCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)は、「高い得点を記録した都市で採択されている政策をどのようにして自分の都市で活用できるかを検討し、より安全で清潔で効率的な道路に投資すためにこの調査を利用してほしい」と述べました。

・「最も運転しやすい都市」ランキング トップ10

・「最も運転しにくい都市」ランキング ワースト10